呼吸器編② 日本プライマリ・ケア連合学会監修
本連載では,日本プライマリ・ケア連合学会/全日本病院協会が実施している「総合医育成プログラム」の中から,選りすぐりのクリニカルパールを紹介します。現場のニーズを熟知しているエキスパートが,プライマリ・ケア医にとって「まさにそこが知りたかった!」というポイントをわかりやすく解説します。
◆どちらも基本はSABA吸入! 喘息ではステロイドをとにかく早く!
◆COPDは鑑別疾患の除外と“ABC”!
1 前提:ほんとうに急性増悪?
喘息・慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmo-nary disease:COPD)はどちらも慢性疾患ですが,時に急性増悪を引き起こし,患者さんを重篤な状態に陥らせます。ただし当然ながら,喘息やCOPDの既往のある人が呼吸苦で来院したとしても原病の急性増悪と決めつけるのは危険です。初発の喘息様発作での受診症例については,まず喘息かどうかの診断が必要になります。
COPD患者が呼吸困難で来院すれば,急性冠症候群,急性心不全,肺炎,気胸,肺塞栓症を必ず鑑別疾患に挙げるべきであり,たとえ急性増悪をきたしていたとしても合併しうる病態です。呼吸苦では迅速な対応が求められる半面,重篤な疾患が隠れている可能性があるため,一度立ち止まって診断を見直すことが重要です。