厚生労働省は12月3日の中央社会保険医療協議会総会に、入院時の食費の基準額を1食当たり40円、入院時の光熱水費の基準額を1日当たり60円、それぞれ引き上げる案を提示した。社会保障審議会医療保険部会でも標準負担額(自己負担額)の水準を中心に見直しの議論が行われる予定で、施行日は2026年度の予算編成改定を経て決定される。
入院時の食費の1食当たり基準額は、24年6月に30円、25年4月に20円の引上げが行われた。その際、増額分は全て患者自己負担分に充てられ、現行の基準額は690円、一般所得者の場合の自己負担額は510円となっている。
ただ、25年4月以降も食材料費の高騰は収まらず、食料の物価指数は引上げを検討していた時期(24年6〜10月)の117.94から、見直し後の25年4〜10月は125.6へと6.50%上昇している。今回の40円の引上げ案は、この上昇率(6.50%)を一般所得者の自己負担額510円に乗じて算出した金額33円を目安に、調理費などを勘案して設定した。
仮にこの案に決まり、過去2回の見直しと同様に引上げ分を全て患者自己負担に充てた場合、見直し後の基準額は730円、一般所得者の自己負担額は550円となる。
■光熱水費は介護保険と同水準の1日60円引上げ案を提示
一方、入院時の光熱水費の1日当たり基準額(療養病床に入院する65歳以上高齢者が対象)は現行の398円を60円引き上げ、458円とすることを提案した。24年度に多床室の居住費の基準費用額を60円引き上げた介護保険に揃えた。この案で仮に増額分を患者自己負担に充てるとした場合、一般所得者の自己負担額は430円になる。
診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)はいずれの提案についても、「直近においても物価や賃金は値上がりしており、次回改定以降もその傾向が続くと考えられることから、今後の経済情勢や医療保険部会で議論される患者負担のあり方も見極めながら注意深く検討すべきだ」との見解を示した。支払側は両案を概ね了承したが、松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は食事の基準額引き上げについて、「患者の理解も得られるように食事の質に配慮することに加え、より効率的な病院給食の運営についても引き続き最大限の努力をお願いしたい」と注文をつけた。