感染性眼内炎は,視力の急速な低下を引き起こす可能性がある重大な眼内感染症であり,病原性により細菌性と真菌性に,また感染経路により内因性と外因性にわけられる。内因性眼内炎は体内の他の部位(肝膿瘍,心内膜炎,尿路感染など)から血流を介して病原体が眼内に侵入することにより,外因性眼内炎は白内障手術後などの眼科手術や外傷により発生する。日本での白内障術後眼内炎の発症率は約0.025~0.052%である。感染性眼内炎の治療においてバンコマイシンやセフタジジムの高い感受性が確認されている一方で,バンコマイシンの網膜毒性も懸念されている。治療においては,欧米を中心に1995年のEndophthalmitis Vitrectomy Study(EVS)1)に従い抗菌薬硝子体内注射が支持されていたが,日本では早期硝子体手術が推奨されている。近年は,欧米でも早期硝子体手術を支持する報告もある2)。
▶診断のポイント
診断には,患者の症状の把握と検体の培養が重要である。主な症状としては視力低下,眼痛,結膜充血,眼瞼腫脹などが挙げられる。確定診断のためには硝子体液や前房水の採取と培養が必要である。real-time polymerase chain reaction(real-time PCR)やmatrix-assisted laser desorption ionization-time of flight(MALDI-TOF)を用いた迅速診断も有用である。内因性眼内炎の診断には血液培養が必須である。
