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膀胱尿管逆流[私の治療]

登録日: 2025.11.24 最終更新日: 2025.11.24

野口 満 (佐賀大学医学部泌尿器科学講座教授)

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膀胱尿管逆流(vesicoureteral reflux:VUR)は,膀胱にたまっている尿が尿管・腎盂へと逆流する現象で,膀胱尿管接合部が先天的に脆弱で起こる原発性VURと,膀胱尿管接合部に問題はなく,下部尿路の器質性疾患や神経因性の排尿障害に伴って起こる続発性VURがある。原発性は乳幼児・小児期に診断されることがほとんどで,自然経過で改善する症例もある。発症機序の異なる原発性,続発性では治療プランが異なる。

▶診断のポイント

【症状】

膿尿,尿路感染症が契機で診断される。特に乳幼児・小児の原発性VURの多くが,有熱性尿路感染症を呈する。

【検査所見】

尿路感染による症状が本症例の診断契機であることから,検尿で膿尿を診断することは重要である。尿培養検査および薬剤感受性検査も併せて行う。

診断は排尿時膀胱尿道造影で行われ,膀胱尿が尿管・腎盂へ逆流する程度からグレードⅠ~Ⅴに分類され,グレードが高いほど逆流の程度が重度となる。超音波検査での腎腫大,水腎・水尿管の有無,膀胱の形態異常や排尿後の残尿などの所見は,本疾患診断の契機となるだけでなく,経過観察中の必須検査と考えてよい。

また,99mTc-DMSAを用いたRI腎シンチグラフィーでVURによる腎機能障害の程度,腎瘢痕の有無が評価される。


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