金属イオンをハプテンとして起こる,Ⅳ型アレルギーに基づく接触皮膚炎である。ニッケル,コバルト,クロムが原因となりやすい。金属接触部位以外に皮膚炎を起こす全身性接触皮膚炎もある。
▶診断のポイント
金属がイオン化することでハプテンとなる。そのため,汗や唾液での湿潤環境で金属が長時間接触する部位に湿疹を起こす。金属製装飾品ではニッケルが原因であることが多い。皮革や塗料では,ニッケル以外にコバルト,クロムも含む。発症部位と生活歴の問診から金属アレルギーを疑った場合には,パッチテストで原因金属を同定する。
全身型金属アレルギーの原因金属は,全身性に取り込まれる機会があるものとなる。その代表が歯科金属であり,パラジウム,金,スズ,銅,銀,亜鉛,インジウム,アルミニウム,クロム,コバルト,チタンなどを含む。整形外科領域や血管内治療でも金属が使われる。また,豆類や香辛料,貝類などに多く含まれるニッケル,クロム,コバルトといった食餌性の金属もある。金属は経腸管や経粘膜で吸収され,汗などで排泄されるため,皮疹は汗をかく部位に好発する。
異汗性湿疹,貨幣状湿疹,偽アトピー性皮膚炎といった湿疹病変から慢性化して痒疹となる。異汗性湿疹は,手指側面・掌側,手掌に点状水疱が多発する。貨幣状湿疹は,漿液性丘疹の集簇局面が下腿などに散在する。偽アトピー性皮膚炎は内因性アトピー性皮膚炎とも呼ばれ,女性に多く,血清IgE値は正常である。扁平苔癬は,口腔粘膜のレース状白斑や四肢・体幹の瘙痒の強い角化性小紅斑を呈し,病理組織学的には苔癬反応を認める。掌蹠膿疱症も金属アレルギーが関与するとの説もあるが,異汗性湿疹の誤診例が多いと思われる。
