赤血球膜上の抗原に対する自己抗体が産生され,血管内・血管外溶血により赤血球の寿命が短縮して貧血となる。特発性と続発性があり,体温と近い温度で結合するIgG型自己抗体が産生される温式自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia:AIHA)と,温度が低下する四肢末梢で赤血球と結合する抗体による冷式AIHAがある。さらに冷式AIHAには,IgM型抗体による寒冷凝集素症(cold agglutinin disease:CAD)とIgG型のDonath-Landsteiner抗体による発作性寒冷ヘモグロビン尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria:PCH)がある。
▶診断のポイント
倦怠感,黄疸などの臨床症状と,網赤血球増加によるMCV高値の貧血,間接ビリルビンとLDH値上昇などから溶血性貧血を疑い,ハプトグロビン値の低下で溶血を確認する。CADでは赤血球が凝集して末梢循環不全によりレイノー現象をきたす。直接クームス試験でIgG±補体C3が検出されれば温式AIHAと診断する。C3がIgGより優位,あるいはC3のみ陽性で,寒冷凝集素価が64倍以上の場合はCADと診断とする。直接クームス試験陰性の場合はPCHやクームス陰性AIHAなどが考えられる。
