1930年,Wolff,Parkinson,Whiteの3人により報告された症候群。心電図上のPR間隔の短縮と脚ブロック型心電図を呈し,頻脈発作を繰り返す病態に対して名づけられた。全人口の約0.3%にみられる。房室結節を介する正常の伝導路以外に房室弁輪に電気的短絡路を有しているため,心室に早期興奮が生じる。早期興奮症候群とも呼ばれる。副伝導路の存在に関係する複数のタイプの不整脈を呈する。基本的には予後良好な疾患であるが,0.10~0.15%/年の頻度で,心房細動(atrial fibrillation:AF)から心室細動を生じて突然死するリスクがある。
▶診断のポイント
【症状】
- 洞調律時には基本的に無症状である。頻拍発作時には,動悸・息切れ・めまい・失神などの症状を呈することがある。
- 頻拍発作を有している場合には,発作の出現と停止が突然か否か,発作時の脈拍が規則正しいか不規則かを聞き出す。発作時の脈拍が規則正しく,出現と停止が突然であれば,房室回帰性頻拍(atrioventricular reciprocating tachycardia:AVRT)が疑われる。一方で発作時の脈拍が不規則であれば,AFの合併が疑われる。
