検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

肺結核[私の治療]

登録日: 2025.11.14 最終更新日: 2025.11.14

佐藤千賀 (国立病院機構愛媛医療センター呼吸器内科医長) 渡邉 彰 (国立病院機構愛媛医療センター呼吸器内科/肺非結核性抗酸菌症センター長) 阿部聖裕 (国立病院機構愛媛医療センター名誉院長)

お気に入りに登録する

主な感染様式は飛沫核(空気)感染である。日本は2021年に低蔓延国となったが,高齢者の患者数はいまだ多く,また一方で特に若い世代ではアジアを中心とした外国出生患者が増加している。発症の誘因としてHIV感染,ステロイド・免疫抑制薬・生物学的製剤使用,糖尿病,血液透析,じん肺などがある。感染症法では2類感染症に分類され,届出基準を満たしたときには直ちに保健所への届出が必要である。喀痰塗抹陽性例などでは保健所から入院勧告が行われる。医療費の自己負担分に対し,公費負担制度がある。

▶診断のポイント

2週間以上続く咳以外に,呼吸器症状がなくても全身倦怠感,食欲不振,微熱など全身性の症状を訴える患者,感染症症状に対してキノロン系抗菌薬投与を繰り返している患者では,肺結核の可能性を考え胸部画像検査や喀痰抗酸菌検査などを行う。空洞や多発結節など典型的と言われる画像所見を呈さない症例も増えており,画像所見の解釈には注意する。

診断時の喀痰抗酸菌検査は単回でなく連続して3日間行うことが推奨されている。喀痰排出困難例では3%高張食塩水吸入やラングフルート®ECO(排痰促進デバイス)による誘発喀痰,早朝空腹時胃液の採取を検討する。結核の疑いがある場合,抗酸菌塗抹・結核菌核酸増幅法検査だけでなく抗酸菌培養検査も行う。


1 2