社会保障審議会介護保険部会は10月27日、生産年齢人口の減少に伴う人手不足の深刻化が懸念されるケアマネジャーの確保策について議論し、厚生労働省が提示した具体案を大筋で了承した。新規入職者の裾野を広げるためにケアマネジャーの受験対象職種を拡充することや、5年ごとの資格更新制の廃止などを盛り込んだ。
高齢者人口の増加で介護サービスは今後も増加し続けるが、ケアマネジャーの従事者数は近年横ばい・減少傾向にあり、人材の確保や個々のケアマネジャーの負担の経験が将来に向けた喫緊の課題となっている。
部会が了承した見直し案によると、新規入職者の確保策ではケアマネジャーの資格対象となる国家資格に、新たに診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師を追加。現行は5年とされている実務経験年数要件は3年に短縮する。
5年ごとの介護支援専門員証の更新に際して法定研修の受講を求める仕組みも見直す。
受講料が高額である上、研修を1回1日でも休むとその年は資格更新ができなくなることから、ケアマネジャーの時間的・経済的負担が大きいとの指摘があったためだ。
■定期的な研修の受講義務は残し、分割受講の容認など受講しやすい環境を整備
具体的には、現行の更新研修の受講を要件とした介護支援専門員証の有効期間更新の仕組みは廃止とする。これにより、研修を受講していないことで直ちに資格を失い、ケアマネジャー業務ができなくなるといった事態は生じなくなる。ただし、更新制を廃止しても専門職として技能向上に取り組む必要性には変わりがないことから、定期的な研修の受講は引き続き求めることとする。その際には、①講義部分を可能な限り縮減する、②一定期間(例えば5年間)に分割して受講することを認めるなど柔軟に受講できる環境を整える―ことなどを通じ、ケアマネジャーの時間的負担の軽減を図る。
個々のケアマネジャーに対する指導・助言を通じてケアマネジメントの質向上に貢献する主任ケアマネジャーの役割について、法令上で明確に位置づけることも打ち出した。