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閉塞隅角緑内障[私の治療]

登録日: 2025.11.05 最終更新日: 2025.11.05

石田恭子 (東邦大学医療センター大橋病院眼科臨床教授)

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閉塞隅角緑内障は原発と続発に分類される。原発閉塞隅角緑内障(primary angle closure glaucoma:PACG)は,房水の流出路である前房隅角が原発性に閉塞して眼圧が上昇し,緑内障性視神経症を生じている疾患である。続発閉塞隅角緑内障は,眼内炎症など他の要因に続発して隅角が閉塞する。わが国における40歳以上のPACGの罹患率は0.6%(多治見スタディ)1),2.2%(久米島スタディ)2)と報告されている。
前駆病態としては,緑内障性視神経症を生じていない原発閉塞隅角症(primary angle closure:PAC)と,隅角が狭く機能的閉塞が疑われる原発閉塞隅角症疑い(primary angle closure suspect:PACS)がある。
PACGやPACには急性に発症するものがあり,それぞれ急性原発閉塞隅角緑内障(acute PACG:APACG)および急性原発閉塞隅角症(acute PAC:APAC)と呼び,両者を急性緑内障発作と総称する。
PACGおよびPACの成因は,①相対的瞳孔ブロック,②プラトー虹彩,③水晶体因子,④水晶体後方因子(毛様体,脈絡膜,硝子体)に分類されるが,複合的に関与していることが多い。

▶診断のポイント

【症状】

急性緑内障発作では,急激な眼圧上昇によって霧視,虹視,眼痛を呈し,多くの場合は片眼性であるが,5~10%程度は両眼性である。その他,悪心,嘔吐,頭痛などの全身症状を随伴する場合もしばしばあり,緊急で救急外来を受診することもある。

慢性の閉塞隅角緑内障では,急激な眼圧上昇を伴わず自覚症状に乏しく,末期になって初めて,視力低下や視野障害を自覚する場合がほとんどである。


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