総胆管結石には,総胆管内に発生する原発結石と,胆囊結石が総胆管に移動して生じる落下結石がある。胆囊結石をしばしば合併するため,総胆管結石治療に加えて胆囊摘出術を必要とする。また,急性胆管炎や胆石膵炎を合併すると重症化することもあり,迅速な診断・治療が必要となる。
▶診断のポイント
【症状】
右季肋部を中心とした腹痛・黄疸を契機に診断されることが多い。胆管炎合併例では発熱も伴い,発熱・腹痛・黄疸は胆管炎のCharcotの三徴と呼ばれる。重症胆管炎ではショック・意識障害と合わせてReynoldsの五徴と呼ばれる。近年では画像検査で偶発的に診断される無症候性胆管結石も頻度が高まっている。
【検査所見】
血液検査では肝胆道系酵素値の上昇に加え,胆管炎合併例では炎症反応高値を認める。症状・採血結果から総胆管結石が疑われる場合には,腹部超音波検査,CT,MRI/MR胆管膵管撮影(MR cholangiopancreatography:MRCP)などの画像検査を行う。
腹部超音波検査は簡便に行うことができ,胆管拡張は描出されるが,総胆管結石自体の描出は難しいことも少なくない。腹部CT検査ではX線透過性結石は描出されないこともあり,注意が必要である。MRCPは胆管結石の描出能は高いが,5mm未満の小結石に対しての感度は高くない。小結石の診断能が最も高い検査は超音波内視鏡検査であるが,侵襲性がやや高い検査であり診断能も術者に依存するため,胆管結石が疑われるものの他のモダリティで診断できない場合に行う。
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)は,ERCP後膵炎などの偶発症もあることから,胆管結石の診断目的で行われることは少なく,他のモダリティで胆管結石を診断したあとに,胆管結石除去や胆道ドレナージなどの治療目的で行う。
