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動脈管開存症(成人)[私の治療]

登録日: 2025.11.02 最終更新日: 2025.11.02

藤井隆成 (昭和医科大学病院小児循環器・成人先天性心疾患センター教授)

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動脈管は,胎児期に存在する大動脈と肺動脈の間に存在する血管である。通常,出生後間もなく自然閉鎖するが,閉鎖せずに開存した場合,動脈管開存症(patent ductus arteriosus:PDA)と診断される。PDAは他の様々な先天性心疾患と関連して併存するが,その場合には小児期に治療を受けることが多いため,成人期には多くの場合,単独の病変としてみられる。

▶診断のポイント

血行動態や臨床症状は動脈管の太さに依存し,大動脈から肺動脈への左右短絡による肺血流の増加,左心系の容量負荷によるうっ血性心不全が主体であるが,太い動脈管では肺高血圧を生じる。太い動脈管が長期間開存していた場合には,不可逆的な肺血管抵抗の上昇を生じ,右左短絡を生じる場合があり,アイゼンメンゲル症候群の病態を呈する。形態的診断は,成人では超音波での描出が困難なことが多いため,造影CTがよく用いられる。成人期の動脈管は,石灰化を生じている場合がある。


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