角膜周辺部に潰瘍をきたす疾患で,特発性周辺部角膜潰瘍(モーレン角膜潰瘍),膠原病に伴う周辺部角膜潰瘍,テリエン周辺角膜変性,カタル性角膜潰瘍などがある。
特発性および膠原病に伴う周辺部角膜潰瘍は,輪部に沿って弧状に進行する潰瘍であり,強い眼痛を自覚する。急速に進行して角膜穿孔をきたすこともある。潰瘍先端はunderminingと称される深い潰瘍を呈する。特発性の場合は原因不明だが,手術,外傷,感染などを契機に発症する何らかの自己免疫性疾患と考えられている。膠原病に伴う場合は,背景に関節リウマチや多発血管炎性肉芽腫症などの膠原病があり,重度のドライアイや強膜炎を合併することも多い。
テリエン周辺角膜変性は,角膜周辺部が菲薄化していく慢性の進行性変性疾患であり,一般的に炎症所見はなく眼痛もない。角膜は弧状に菲薄化し乳黄白色の実質混濁や表在性の血管侵入を伴うが上皮欠損はない。角膜乱視による視力低下が生じるまで自覚症状がないことが多く,進行は遅い。炎症を伴い眼痛や結膜充血などを自覚する場合や外傷を契機に角膜穿孔をきたす場合もある。
カタル性角膜潰瘍は,眼瞼縁に存在する細菌に対するアレルギーによる炎症性疾患である。軽度だと角膜浸潤病巣のみだが,進行すると弧状の浸潤を伴う潰瘍を形成する。眼瞼と角膜が接する2,4,8,10時が好発部位である。潰瘍は浅く,マイボーム腺炎を伴うことが多い。
