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三叉神経痛[私の治療]

登録日: 2025.10.28 最終更新日: 2025.10.28

林 基弘 (東京女子医科大学脳神経外科学分野教授)

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三叉神経痛は,激痛ゆえ疾患カテゴリーを「痛み(nociceptive pain)」ととらえがちだが,真の病態生理は「てんかん(sporadic pain)」であり,三叉神経痛発作と認識を改めるべきである。そのため,抗てんかん薬のカルバマゼピンが効果的である。高齢者に多く,発症は急である。少々の顔面・口腔内刺激でも突発的に「電撃痛」を訴え,間欠期には何の症状もない。自然に数年間症状のない時期もあるが,大方の症例が再燃する。
一方で,帯状疱疹その他,三叉神経自体が損傷を受けた状態の顔面痛は「非典型的顔面痛」と言われ,間欠期がなく常にしびれ痛さのような持続性疼痛が存在し,顔面感覚異常を伴い,カルバマゼピンは無効である。経緯によっては混在しているタイプもあるが,これらを必ず見わける臨床力が三叉神経痛治療医には必須である。

▶診断のポイント

三叉神経痛(発作)における診断基準を以下に示す。

①常に同じ側,同じ場所に症状が発現

②痛みは通常「突発痛・電撃痛」であり,「持続痛」ではない

③ほかのタイプの痛みはない

④間欠期は顔面知覚などに異常を感じない

⑤疼痛発作は洗顔などの顔面刺激や咀嚼・歯磨きなどの口腔内刺激で容易に誘発

⑥カルバマゼピンがとても効く,もしくは効いていた


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