検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

コレラ[私の治療]

登録日: 2025.10.19 最終更新日: 2025.10.19

中村(内山)ふくみ (東京都立墨東病院感染症科部長)

お気に入りに登録する

コレラ菌(Vibrio cholerae)には200を超える血清型が存在するが,中でもO1またはO139血清型かつコレラ毒素を産生する菌により起こる急性腸管感染症をコレラと言う。コレラは全数報告対象(3類感染症)であり,診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない。最近の国内の患者報告数は年間10例以下である。

▶診断のポイント

【症状】

潜伏期は通常半日~4.5日(中央値1~4日)で,頻回の下痢と嘔吐で発症する。患者の多くは無症候または軽症〜中等症で,脱水症状を起こす重度の下痢がみられるのは10~20%である。重症例では特徴的な「米のとぎ汁様」の薄白色水様下痢がみられ,1日数Lから最重症例では数十Lに及ぶこともある。電解質喪失や脱水を反映して,チアノーゼ,皮膚の乾燥,頻脈,筋痙攣を認めることもある。無尿やショック状態に陥ることもある。

軽症〜中等症の場合,症状からコレラ菌以外の病原微生物による感染性腸炎と鑑別することは困難である。渡航歴,食歴やシックコンタクトを聴取し病原体を想定するとともに,便培養を提出して鑑別を進めていく。


1 2