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微弱陣痛・遷延分娩[私の治療]

登録日: 2025.10.16 最終更新日: 2025.10.16

大槻克文 (昭和医科大学江東豊洲病院産婦人科教授/副院長) 下川貴志 (昭和医科大学江東豊洲病院産婦人科)

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陣痛とは,胎児を子宮下部から,産道を経て徐々に外側に押し出すために,規則的で10分間に1回程度から始まり,しだいに増強する子宮収縮である。分娩進行はFriedman曲線に基づき評価しており,陣痛発来から子宮口全開大までを分娩第1期,児娩出までを第2期,付属物(臍帯,胎盤)娩出までを第3期,さらに2時間経過するまでを第4期と定義している。分娩第1〜2期までに分娩の進行が遅延している場合を微弱陣痛と言い,分娩開始後から初産婦では30時間,経産婦では15時間経過しても児娩出に至らないものを遷延分娩と言う。

▶診断のポイント

分娩第1期には潜伏期,活動期(子宮口5cm以上開大)があり,潜伏期は初産婦で平均8〜9時間,経産婦で平均5〜6時間とされているが,この時期での分娩進行遅延は問題ないとされている。一方で活動期は初産婦で平均5〜6時間,経産婦で平均2〜3時間とされている。特に陣痛周期が子宮口8cmまでで6分以上,9cmから分娩までで4分以上間隔が開く場合は微弱陣痛としている。

原因となるのは,分娩の3要素〔娩出力(母体疲労,子宮筋腫,羊水過多,無痛分娩),産道(狭骨盤,軟産道強靱),娩出物(巨大児,胎位,胎勢)〕など多岐にわたる影響が考えられる。


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