重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)は,神経筋接合部のシナプス伝達が障害される自己免疫性疾患である。2018年の全国疫学調査では,患者数は2万9210人,人口10万人当たり23.1人であった。
▶診断のポイント
【症状】
反復動作によって増強する易疲労性と筋力低下をきたし,夕方に悪化する日内変動が特徴的である。全経過を通じて眼症状のみに限局する眼筋型(眼瞼下垂,複視)が20%を占める。
【検査】
眼瞼の易疲労性試験,アイスパック試験,塩酸エドロホニウム試験がある。電気診断では反復神経刺激法(低頻度)により漸減現象を,単一線維筋電図ではjitterを認める。アセチルコリン受容体(AChR),筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)のいずれかに対する自己抗体を約9割のMG患者の血清中で認める。胸腺病変のスクリーニングは必須である。