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小脳橋角部腫瘍[私の治療]

登録日: 2025.09.25 最終更新日: 2025.09.26

大石直樹 (慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室准教授)

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小脳橋角部腫瘍のおよそ80%を聴神経腫瘍が占め,ついで髄膜腫がみられる。聴神経腫瘍は前庭神経に生じる神経鞘腫であり,主に難聴,耳鳴,めまいなどの蝸牛前庭症状を初発症状とする。発生頻度は,1年間に100万人当たり約20人で,一生涯当たりの発症率は500人に1人と考えられている。

▶診断のポイント

聴神経腫瘍における難聴は,急性感音難聴として発症する例と,発症時期が明らかでないまま進行性難聴を呈する例とがみられる。急性感音難聴の中で聴神経腫瘍の診断に至る例はおよそ3%程度と推定されている。聴力型は,急性難聴で発症した症例の中では谷型が最も多くみられ,高音漸減型が続き,非突発難聴例では高音障害型や水平型(皿型)が多い。感音難聴症例におけるスクリーニング目的のMRI撮影基準として,2つ以上の連続する周波数における10dB以上の左右差,1つの周波数における15dB以上の左右差,などが提唱されており,特に高音域に左右差を認めやすい。めまいを主訴とするのは約10%で,反復性のめまい,進行性難聴合併症例ではMRI撮影は必須である。


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