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ウィルソン病[私の治療]

登録日: 2025.09.30 最終更新日: 2025.11.07

水落建輝 (久留米大学医学部小児科学講座主任教授)

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ウィルソン病は,常染色体潜性遺伝の先天性銅代謝異常症で,発症頻度は3~4万人に1人である。ATP7B遺伝子異常により,肝臓から胆汁への銅の排泄とセルロプラスミンとしての血中への分泌が障害され,全身に銅が蓄積し肝臓や脳を中心に臓器障害を引き起こす。早期に診断すれば内科的治療が可能な先天性代謝異常症である。
症状は多彩で,肝障害を呈する場合を肝型,神経・精神症状を呈する場合を神経型,肝障害と神経・精神症状を併せ持つ場合を肝神経型と分類する。また,家族内検索や偶然の血液検査(トランスアミナーゼ上昇など)で発症前に(無症状で)診断された発症前型(無症候型)もある。

▶診断のポイント

【症状】

〈肝型〉

黄疸,嘔吐,易疲労感,食欲不振,腹満,出血などが比較的多い。発症年齢は主に5~35歳で,5~15歳に発症するケースが多いが,40歳以上で発症する例もある。

〈神経型〉

神経症状は,言語障害,構音障害,不随意運動などのパーキンソン病様症状(錐体外路症状)として発症する。精神症状としては,意欲低下,集中力低下,突然の気分変調,性格変化などが初発症状のことがあり,うつ,統合失調症などと誤診される場合がある。発症年齢は6~40歳と幅広いが,多くは11~20歳頃である。


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