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麻疹[私の治療]

登録日: 2025.09.19 最終更新日: 2025.09.26

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麻疹ウイルスによる感染症で,飛沫・空気感染し,きわめて感染力が強い。発熱,カタル症状,発疹を三徴とする。わが国はWHOによって2015年に麻疹の排除状態と認定されたが,輸入感染例による局所的な流行が毎年みられる。治療薬はなく,致死的な合併症を呈することがあるため,予防接種や曝露後予防が重要である。

▶診断のポイント

以下の臨床経過が特徴的である。発熱に続きカタル症状(咳嗽・鼻汁,結膜充血等)を呈する。発症早期には頰粘膜に白色のコプリック斑を認めることがある。一時的な解熱後,頭部から紅斑性斑状丘疹が出現し,体幹や四肢へ融合傾向を示しながら広がる。その後,解熱し皮疹は色素沈着を残す。ワクチン接種歴がある場合,三徴(発熱,カタル症状,発疹)がそろわないことがある(修飾麻疹)。潜伏期間は通常10~12日〔7~21日(免疫グロブリン投与者は最大28日)〕,感染性のある期間は発疹出現前4日~発疹出現後4日(または発症前日~解熱後3日)である。

2回のワクチン接種で多くが予防可能なため,ワクチン接種歴は重要であるが,接種歴のみで麻疹は否定できない。麻疹患者との接触歴や海外渡航歴,空港での滞在歴等についての問診も重要である。麻疹が疑われる場合は,保健所を通して地方衛生研究所での咽頭拭い液または血液,尿を用いた遺伝子検査を依頼する。感染症法の5類感染症全数把握疾患であり,診断後は直ちに保健所へ届け出る。


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