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バーキットリンパ腫[私の治療]

登録日: 2025.09.14 最終更新日: 2025.09.20

丸山 大 (がん研究会有明病院血液腫瘍科部長)

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バーキットリンパ腫(Burkitt lymphoma:BL)は,高悪性度(highly aggressive)B細胞リンパ腫である。BLにはアフリカの小児に多く発生するendemic BL,欧米や日本などで認められるsporadic BLおよびHIV感染に関連して発症するimmunodeficiency associated BLの3つの臨床病型が知られている。成人での発生頻度は,悪性リンパ腫全体の1~2%程度である。小児と若年成人に多く発症し,男女比は2~3:1で男性に多い。回盲部腫瘤などの腹部腫瘤で発症することが多く,腹腔内リンパ節,卵巣,腎および乳房などへの浸潤もめずらしくなく,骨髄浸潤や中枢神経浸潤をきたした状態で診断されることもある。臨床的にはきわめて進行が速いが,適切な治療を行うことで治癒が期待できる病型でもある。

▶診断のポイント

診断には腫瘤生検による病理組織学的検査が必須である。組織学的には腫瘍細胞のびまん性融合性増殖を示し,細胞は小型から中型までの均一な大きさで,核は類円状であり小さな核小体を有することが多い。胞体は好塩基性で空胞を有する。核片を貪食するマクロファージが多く,淡く抜けてstarry sky appearance(星空像)を呈する。

免疫形質では,CD3-/CD5-/CD10+/CD19+/CD20+/CD22+/CD79a+/IgM+/bcl2-/TdT-で,免疫グロブリン軽鎖の制限を認める。さらに,ヒト増殖期細胞の核に陽性を示すMIB-1 indexが99%以上となる。BLでは染色体分析で約80%にt(8;14)(q24;q32)が認められるが,8q24(myc)の転座相手が軽鎖のκあるいはλ遺伝子の場合は,それぞれt(2;8)(p12;q24)あるいはt(8;22)(q24;q11)となる。MYC遺伝子転座,再構成の有無を実地診療において検索するにはFISH検査が有用である。


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