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感染性腹膜炎[私の治療]

登録日: 2025.09.07 最終更新日: 2025.09.20

伊藤 渉 (奈良県立医科大学感染症内科学講座) 笠原 敬 (奈良県立医科大学感染症内科学講座教授)

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感染性腹膜炎には,腹腔内臓器の解剖学的破綻を伴わない「特発性細菌性腹膜炎(spontaneous bacterial peritonitis:SBP)」(一次性腹膜炎と同義),臓器破綻により消化管内や生殖器内の菌体が腹腔内へ漏出し発症する「二次性腹膜炎」,これらを適切に治療しても腹膜炎所見が遷延する「三次性腹膜炎」の3病型がある。主に前2者について述べる。

▶診断のポイント

【SBP】

多くは肝硬変に合併するが,原因によらないすべての腹水貯留患者において発症しうる。腹水貯留患者の発熱や腹痛,バイタルサイン異常や臓器障害,腹水増加などをみれば必ず鑑別疾患に挙げる。二次性腹膜炎を除外した後に腹腔穿刺を実施し,腹水多核球≧250/mm3で診断する。腹水グラム染色の感度は低いが,もし菌体が観察できれば原因菌の想定に有用である。腹水を血液培養ボトルにも注入することで培養感度が上昇する1)

【二次性腹膜炎】

腹腔内臓器の破綻を示唆する病歴があれば二次性腹膜炎を疑い,腹部造影CTを撮像して診断する。腹水のグラム染色像で複数種類の菌体が確認されれば二次性腹膜炎を疑うきっかけになる。


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