検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

医師が酒皶の患者の訴えを理解できない理由[酒皶診療のパラダイムシフト]

登録日: 2025.09.09 最終更新日: 2025.09.22

延山嘉眞 (東京慈恵会医科大学皮膚科学講座教授)

お気に入りに登録する

※本稿は,延山嘉眞『酒皶診療のパラダイムシフト―適切な診断と治療のために―』の一部を抜粋・編集したものです。

末梢知覚神経上に発現している侵害受容器TRPV1, TRPV4, TRPA1を介して自覚症状を知覚しています。

酒皶では,末梢知覚神経に様々な炎症メディエーターや増殖因子が曝露し,これらの侵害受容器の発現が増加します。過剰に発現した侵害受容器を介した過剰なシグナルが求心路を介して伝達され,刺激に対する過剰な感覚が認識されます。

これらの自覚症状の程度は他覚所見の程度と解離することがあります。特に,瘙痒と知覚過敏において解離することが多いようです。この傾向が強い場合,患者さんが過剰な表現をしているように医師は感じます(図18)。

参考:異常に活性化したTRPV1を介した自覚症状の典型的な訴え

「火に炙られているようなのよ!」

「敏感肌用を使ってみたけれど,どの化粧水も合わないのよ!」

参考:異常に活性化したTRPV4を介した自覚症状の典型的な訴え

「むずむず痒くて!」

参考:異常に活性化したTRPA1を介した自覚症状の典型的な訴え

「剣山を突き立てられているようなのよ!」

「髪の毛がいつも顔に触れているようで不快なの!」


1