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加齢黄斑変性[私の治療]

登録日: 2025.08.11 最終更新日: 2025.09.20

松本英孝 (群馬大学医学部附属病院眼科講師)

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加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)は,加齢に伴い黄斑に変性をきたす疾患である。新生血管型と萎縮型に分類され,新生血管型は黄斑新生血管からの滲出に伴う変性が起こるのに対し,萎縮型は黄斑新生血管を合併せずに黄斑変性を生じる。

▶診断のポイント

【症状】

黄斑が障害されるため,視力低下,変視,色覚異常,中心暗点などの症状をきたす。

【検査所見】

眼底検査:黄斑新生血管や出血,網膜剝離,網膜色素上皮剝離,硬性白斑などがみられる。

光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT):黄斑新生血管や網膜内液,網膜下液,網膜色素上皮下液などの滲出性変化を検出することができる。

光干渉断層血管撮影(OCT angiography):造影剤を使用せずに黄斑新生血管網を描出することができる。

フルオレセイン蛍光眼底造影,インドシアニングリーン蛍光眼底造影:侵襲的であるが,黄斑新生血管の活動性や形態を評価することができる。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)薬の硝子体内注射は,黄斑新生血管からの滲出を抑制することによって,視力の改善・維持が期待できる治療法として確立されている。このため,新生血管型AMDに対する治療法は,抗VEGF薬の硝子体内注射が第一選択となる。治療効果が不十分な場合は,抗VEGF薬の切り替えや光線力学的療法の追加を検討する。また,僚眼の発症予防として,禁煙指導や食生活の改善,サプリメント摂取が推奨されている。萎縮型AMDに対しては,現在のところ有効な治療法は確立されていない。


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