肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)による肺炎であり,市中肺炎の原因として,非定型肺炎では最も高頻度である。好発年齢は幼児期~学童期,成人若年層であるが,中高年層でも発症することがある。発熱と激しい乾性咳嗽を特徴とし,一般的に軽症〜中等症にとどまることが多い。飛沫感染で伝播し,家庭内や職場内感染なども多い。COVID-19パンデミック期には激減したが,2023年以後増加傾向にある。
▶診断のポイント
市中肺炎における細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の鑑別として,①年齢60歳未満,②基礎疾患がない,あるいは軽微,③頑固な咳嗽,④胸部聴診上所見が乏しい,⑤喀痰がない,あるいは迅速診断法陰性,⑥末梢血白血球数が1万/μL未満,の6項目中5項目以上合致すればマイコプラズマ肺炎,2項目以下では細菌性肺炎,3または4項目では鑑別困難,または混合感染を考慮する1)。
胸部CTでは,①気管支血管周囲間質肥厚,②小葉中心性あるいは細葉中心性粒状影,③すりガラス影,が高頻度とされる。病原体診断では,培養検査は専用培地を必要とし,一般的には行われない。抗原検査は感度が低いとされてきたが,遺伝子検査に匹敵する高感度の検査法も開発された。遺伝子検査は最も高感度かつ精度の高い検査法であるが,近年,マクロライド耐性の判定が可能かつ1時間以内に判定可能な迅速遺伝子検査(Qプローブ法)が開発された。