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皮膚病変(かゆみ)への対応[私の治療]

登録日: 2025.06.24 最終更新日: 2025.09.20

袋 秀平 (ふくろ皮膚科クリニック院長)

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かゆみはありふれた症状であるが不快感が強く,患者のQOLを著しく低下させる。かゆみの原因は皮膚疾患にとどまらず内臓疾患による場合もあり,正確な診断と対応が必要である。かゆみを生じる疾患は多岐にわたるため,すべてを網羅することは困難であり,在宅における重要な疾患に限定して記述する。

▶代表的症状・検査所見

  • 湿疹:最も頻度の高い疾患である。在宅では皮脂欠乏性湿疹やうっ滞性皮膚炎が多い。
  • 蕁麻疹:虫に刺されたような膨疹が特徴的で,長くても半日程度で消失,出没する。原因を特定できない特発性のものが多い。
  • 多型慢性痒疹:高齢者の体幹や大腿に好発する。蕁麻疹に似た紅斑・丘疹に始まり,常色~淡褐色の丘疹に変化し,融合して苔癬化する。症候性の場合もある。
  • 疥癬:施設などでの他者への感染が問題となる。手を中心とした疥癬トンネルや結節などからヒゼンダニの虫体や虫卵などを検出して診断を確定する。ダーモスコピーによる観察も有用である。
  • 水疱性類天疱瘡:典型的な場合は緊満性の水疱が多発するが,紅斑が主体である場合もある。日本皮膚科学会のガイドライン1)上は皮膚生検が必須であるが,血中の抗BP180抗体の検出も診断の一助となる。
  • 内臓疾患2)3):腎疾患(慢性腎不全,血液透析),肝疾患(黄疸,肝硬変,原発性胆汁性胆管炎),内分泌・代謝疾患(糖尿病,甲状腺機能異常,妊娠,閉経後),血液疾患(悪性リンパ腫),内臓悪性腫瘍,神経疾患(多発性硬化症),精神障害,AIDS,寄生虫疾患などにより,かゆみを生じる場合がある。
  • 薬剤性:オピオイド,心血管作動薬,利尿薬など,かゆみを誘発する薬剤は多数存在する。

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