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深部静脈血栓症（deep vein thrombosis：DVT）は深部静脈に血栓が生じた病態のことであり，多くの場合，下肢に発生し血栓症の部位によって膝窩静脈より中枢側の中枢型（近位型）と，末梢側の末梢型（遠位型，下腿型）に分類される。
▶診断のポイント
【症状】
下肢の腫脹，疼痛，色調変化などの症状を認め，症例により無症状・軽症から重症まで様々である。下腿限局の末梢型の場合は比較的軽症で，中枢型や血栓が広範囲に存在する場合は重症を呈する傾向にある。血栓の性状が浮遊血栓の場合，血栓が剝がれ肺塞栓の原因となる場合もある。
【検査所見】
初診時にその病歴，下肢の症状，身体所見などによりDVTが疑われる場合はDダイマー検査が行われるが，DVTに特異的なものではないため，画像評価前の除外診断に活用される場合が多い。診断にはその非侵襲性からも超音波検査が有用であり，診断のみならず血栓の範囲や性状までもが評価できる。重症例で肺塞栓まで疑われる場合は，造影CTを行い下肢静脈のみならず肺動脈まで一度に評価することも有用である。
▶私の治療方針・処方の組み立て方
かつてはワルファリンやヘパリンなどを用いた入院加療が基本であったが，直接作用型経口抗凝固薬（direct oral anticoagulant：DOAC）の登場により，現在はDOAC内服による抗凝固療法が基本治療となっている。実際にはその臨床症状や血栓の状態に合わせ，DOAC治療，入院／外来治療の選択，弾性ストッキングの着用，侵襲的治療である下大静脈フィルター留置やカテーテル血栓除去術などを組み合わせていく。