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骨粗鬆症(原発性)[私の治療]

登録日: 2025.03.24 最終更新日: 2025.10.24

前田和洋 (東京慈恵会医科大学整形外科学講座講師/同大学附属病院手外科センターセンター長) 斎藤 充 (東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授)

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▶治療の実際

骨粗鬆症の治療目標は,新たな骨折の発生を予防することである。

【YAM 60%台後半の症例,脆弱性骨折のない症例,閉経直後の症例への処方例】

一手目 ビビアント20mg錠(バゼドキシフェン酢酸塩)1回1錠1日1回(朝食後),またはエビスタ60mg錠(ラロキシフェン塩酸塩)1回1錠1日1回(朝食後)+エディロール0.75μgカプセル(エルデカルシトール)1回1カプセル1日1回(朝食後)

二手目 〈処方変更〉テリボン注オートインジェクター(テリパラチド酢酸塩)1回28.2μg 週2回(皮下注),またはフォルテオ注(テリパラチド)1回20μg 1日1回(皮下注)+エディロール0.75μgカプセル(エルデカルシトール)1回1カプセル1日1回(朝食後)

三手目 〈処方変更〉ボンビバ100mg錠(イバンドロン酸ナトリウム水和物)1回1錠 月1回(起床時),またはボノテオ50mg錠もしくはリカルボン50mg錠(ミノドロン酸水和物)1回1錠4週に1回(起床時),またはボナロン35mg錠もしくはフォサマック35mg錠(アレンドロン酸ナトリウム水和物)1回1錠 週1回(起床時),またはアクトネル75mg錠もしくはベネット75mg錠(リセドロン酸ナトリウム水和物)1回1錠 月1回(起床時)+エディロール0.75μgカプセル(エルデカルシトール)1回1カプセル1日1回(朝食後)

【骨折の危険性が高い骨粗鬆症への処方例】

一手目 イベニティ注(ロモソズマブ)1回210mg 月1回(皮下注)+エディロール0.75μgカプセル(エルデカルシトール)1回1カプセル1日1回(朝食後)

二手目 〈処方変更〉一手目を1年間投与終了後の逐次療法として,プラリア注(デノスマブ)1回60mg 6カ月に1回(皮下注)+デノタスチュアブル配合錠(沈降炭酸カルシウム・コレカルシフェロール・炭酸マグネシウム)1回2錠1日1回(朝食後)

三手目 〈処方変更〉一手目に戻る。さらに1年間投与終了後,逐次療法として二手目へ

【脆弱性骨折手術直後の症例への処方例】

一手目 テリボン注オートインジェクター(テリパラチド酢酸塩)1回28.2μg 週2回(皮下注),またはフォルテオ注(テリパラチド)1回20μg 1日1回(皮下注)+エディロール0.75μgカプセル(エルデカルシトール)1回1カプセル1日1回(朝食後)

二手目 〈既にPTH製剤(テリボン,フォルテオ)を投与されていて脆弱性骨折を起こしてしまった症例〉 プラリア注(デノスマブ)1回60mg 6カ月に1回(皮下注)+デノタスチュアブル配合錠(沈降炭酸カルシウム・コレカルシフェロール・炭酸マグネシウム)1回2錠1日1回(朝食後),またはイベニティ注(ロモソズマブ)1回210mg 月1回(皮下注)+エディロール0.75μgカプセル(エルデカルシトール)1回1カプセル1日1回(朝食後)に変更

【骨質劣化と関連する病態を有する症例への処方例】

一手目 ビビアント20mg錠(バゼドキシフェン酢酸塩)1回1錠1日1回(朝食後),またはエビスタ60mg錠(ラロキシフェン塩酸塩)1回1錠1日1回(朝食後)+エディロール0.75μgカプセル(エルデカルシトール)1回1カプセル1日1回(朝食後)+グラケー15mg カプセル(メナテトレノン)1回1カプセル1日3回(毎食後)

二手目 〈処方変更〉テリボン注オートインジェクター(テリパラチド酢酸塩)1回28.2μg 週2回(皮下注),またはフォルテオ注(テリパラチド)1回20μg 1日1回(皮下注)+エディロール0.75μgカプセル(エルデカルシトール)1回1カプセル1日1回(朝食後)+グラケー15mgカプセル(メナテトレノン)1回1カプセル1日3回(毎食後)

▶専門家へのコンサルト

歯科との連携:骨吸収抑制薬の合併症に薬剤関連性顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw:MRONJ)があり,発生頻度は0.001~0.01%とされる。骨吸収抑制薬開始前に口腔内の衛生環境を整えておくことは,MRONJの発症予防に効果的であり,骨粗鬆症治療介入前から歯科医師との連携が重要である。

【参考資料】

▶ 斎藤 充:代謝性骨疾患. 標準整形外科学. 第15版. 井樋栄二, 他, 監. 医学書院, 2023, p325-47.

▶ Cosman F, et al:J Bone Miner Res.2024;39(10):1393-405.

前田和洋(東京慈恵会医科大学整形外科学講座講師/同大学附属病院手外科センターセンター長)
斎藤 充(東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授)


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