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尿細管性アシドーシス[私の治療]

登録日: 2025.02.07 最終更新日: 2025.11.12

蘇原映誠 (東京科学大学大学院医歯学総合研究科腎臓内科学准教授)

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▶治療の実際

下記の薬剤を検査値と症状に応じて適宜用いる。

【Ⅰ型尿細管性アシドーシス】

①ウラリット配合錠(クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物)1回1〜4錠1日3回(毎食後),検査値に合わせて増減
②グルコン酸K 5mEq錠(グルコン酸カリウム)1回1~3錠1日3回(毎食後),検査値に合わせて増減

【Ⅱ型尿細管性アシドーシス】

①炭酸水素ナトリウム500mg錠(炭酸水素ナトリウム)1回1〜4錠 1日3回(毎食後),検査値に合わせて増減
②グルコン酸K 5mEq錠(グルコン酸カリウム)1回1~3錠1日3回(毎食後),検査値に合わせて増減

〈ファンコーニ症候群による骨軟化症を伴う場合〉

①または②に,以下を併用する。

③ロカルトロールカプセル(カルシトリオール)1回0.25~0.5μg 1日1回(朝食後),検査値に合わせて増減
④ ③の投与によってもリンが低値の場合,ホスリボン配合顆粒(リン酸二水素ナトリウム一水和物・無水リン酸水素二ナトリウム)1回1〜2包(リンとして100mg/包)1日3回(毎食後),検査値に合わせて増減

【Ⅳ型尿細管性アシドーシス】

①炭酸水素ナトリウム500mg錠(炭酸水素ナトリウム)1回1〜2錠1日3回(毎食後),検査値に合わせて増減

〈高カリウム血症の治療として〉

①に,以下を併用する。

②ケイキサレートドライシロップ76%(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)1〜4包(製剤量として3.27g/包)/日 分2〜3(食後),検査値に合わせて増減

〈腎機能低下が軽度で明らかに低アルドステロン血症が原因の場合〉

①に,以下を併用する。

③フロリネフ0.1mg錠(フルドロコルチゾン酢酸エステル)1回0.5~1錠1日1回(朝食後)(保険適用外),体液貯留/血圧上昇に注意

〈偽性低アルドステロン症Ⅱ型の場合〉

以下を単独で使用する。

④フルイトラン2mg錠(トリクロルメチアジド)1回0.5~1錠1日1回(朝食後)

▶専門家へのコンサルト

特に小児症例は成長障害を改善することができるので,疑った場合には専門家に紹介して適切な治療を早期に受けさせる必要がある。また,近年の遺伝学の進歩によって網羅的な遺伝子診断が可能になり,遺伝子診断の重要性が増している。腎疾患の網羅的遺伝子検査が可能な施設は限られているが,医師への相談が可能である。成人症例も含めて,遺伝性の尿細管性アシドーシスの可能性がある場合には問い合わせて,症例の相談をすることで遺伝子検査を受けることができる場合がある。

蘇原映誠(東京科学大学大学院医歯学総合研究科腎臓内科学准教授)


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