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術後痛管理チーム(APS)について,外科系医師や外科病棟看護師が知っておくと便利なポイントは?

登録日: 2024.12.10 最終更新日: 2025.09.20

住谷昌彦 (東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部准教授) 大槻明広 (鳥取大学医学部麻酔・集中治療医学分野教授)

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術後痛管理チーム(acute pain service:APS)について,外科系医師や外科病棟看護師が知っておくと便利なポイントをご教示下さい。鳥取大学・大槻明広先生にご解説をお願いします。

【質問者】
住谷昌彦 東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部准教授


【回答】

【医療者間の情報共有と患者教育によって最適な術後痛管理を実現する】

APSとは,術後の痛みを適切に管理するための専門チームです。チーム構成は,麻酔科医,看護師,薬剤師が中心となって構成されていることが多く,痛みの評価,治療計画の立案,薬物療法の選択と投与量,薬物相互作用,副作用の監視,患者教育などをそれぞれ分担して担当します。術後回診やカルテの情報をもとに痛みの強さを定期的に評価し,適切な痛みの管理を行います。複数の医療者が共通の目標に向けて活動するために,評価スケールの統一は非常に重要です。

一般的に使用されるスケールとして,視覚的アナログスケール(Visual Analogue Scale:VAS),数値評価スケール(Numerical Rating Scale:NRS)があります。痛み緩和の薬物療法では,マルチモーダルアプローチが有用であると考えられています。これは,複数の薬物を組み合わせることで痛みの管理を最適化し,副作用を最小限に抑えます。たとえばアセトアミノフェン,非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs),硬膜外ブロックや末梢神経ブロックなどの区域麻酔を組み合わせることで,オピオイド鎮痛薬の使用量を減量し,鎮静,便秘,嘔気,呼吸抑制のような合併症の頻度を低下させることが可能です。


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