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ウイルス性疣贅(尋常性疣贅など)[私の治療]

登録日: 2024.11.30 最終更新日: 2025.09.20

野村尚史 (京都大学大学院医学研究科難病創薬産学共同研究講座特定准教授/皮膚科兼任)

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ウイルス性疣贅は,ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)が皮膚・粘膜に感染して生じる良性腫瘍である。特殊な例(疣贅状表皮発育異常症等)では発がんの原因となりうる〔「ボーエン様丘疹症(ボーエン病)」「伝染性軟属腫」は別稿参照〕。

▶診断のポイント

角化が著明で表面粗糙な直径10mmまでの皮膚結節を呈する。有棘細胞癌の鑑別を念頭に置く。以下,代表的な病型について述べる。

【尋常性疣贅】

多くはHPV2aの感染による。

〈典型例〉

手足に好発する。数mm~10mm大の角化性結節で徐々に増大・増加する。表面を削ると点状の出血点を認める。脂漏性角化症,胼胝腫,鶏眼等を鑑別する。

〈非典型例〉

①指状/糸状疣贅
顔面・頸部に生じ,外方向性に増殖する。指をすぼめた形状,細長く先端がとがった形状をとる。

②爪部疣贅
爪周囲に生じ,難治で疼痛を伴う。爪甲の下から塊状に隆起することもある(爪甲下疣贅)。

③足底疣贅
加圧により疣贅が内方向に増殖し,難治である。

【ミルメシア】

HPV1aの感染による。小児の足底に好発し,単発性に蟻塚状病変を形成する。

【扁平疣贅】

多くはHPV3の感染による。青壮年の顔面・四肢に好発し,わずかに隆起した褐色調の,円形から多角形の皮疹をなす。散在性,集簇性,線状に配列する(搔破によるケブネル現象)。脂漏性角化症,脂腺増殖症,稗粒腫,汗管腫,黄色腫を鑑別する。視診で診断が困難な場合は,皮膚生検とHPV遺伝子検索を要する。

【尖圭コンジローマ】

HPV6/11の感染による。陰股部の皮膚粘膜移行部に好発し,乳頭状,鶏冠状を呈する。ボーエン様丘疹症,陰茎真珠様小丘疹,腟前庭乳頭腫症,フォアダイス状態と鑑別する。産道感染により,乳幼児の肛門周囲疣贅,再発性呼吸器乳頭腫症を生じることがある。


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