透析患者では腎臓からのカリウム分泌を増やすことが難しいため,高カリウム血症をきたした場合には,栄養士とも連携してカリウムの摂取量や変動(特に急激なカリウム摂取量の増加がなかったか)を把握するとともに,血糖コントロールの悪化や代謝性アシドーシスの合併,便秘,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬の開始あるいは増量といった,血清カリウム濃度を上昇させる要因を同定することが基本となります。
透析患者では,カリウム制限の一環として野菜・果物の摂取制限がされることが多いですが,最近の研究では低栄養や心血管疾患リスクの増加といった,一律の制限に伴う弊害も指摘されており,個々の症例の病態に合わせた個別対応が適切であると考えられます。
カリウム診療の大きな進歩として,昨今,血清カリウム濃度の低下作用に優れ,カリウム管理に対する有効性が実証された新しいカリウム吸着薬が使用可能となっています。薬価の問題や症例によっては浮腫・便通異常等が出現しうるため,一律での使用は薦められませんが,カリウム管理が難しい場合には有用な選択肢のひとつになると考えられます。
【回答者】
柴田 茂 帝京大学医学部内科学講座教授