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ハンナ型間質性膀胱炎に対する膀胱内注入療法と経尿道的手術の使い分けについて

登録日: 2023.07.10 最終更新日: 2025.09.20

横山みなと (帝京大学医学部附属溝口病院泌尿器科教授) 秋山佳之 (東京大学大学院医学系研究科外科学専攻 臓器病態外科学講座泌尿器外科学講師)

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ハンナ型間質性膀胱炎に対しては,2021年に膀胱内注入薬であるジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO,ジムソ®)が発売され,2022年には水圧拡張に加えハンナ病変の切除・焼灼を行うハンナ型間質性膀胱炎手術(経尿道)が保険適用になり,新たな治療選択肢が得られました。一方で,個々の症例に対してどちらの治療を行うかについては,明確な答えが示されていないように思われます。両者の使い分けについてご教示下さい。東京大学・秋山佳之先生にご解説をお願いします。

【質問者】横山みなと 帝京大学医学部附属溝口病院泌尿器科教授


【回答】

 【未治療症例に対しては原則として,経尿道的手術を優先して行うことが望ましい】

ハンナ型間質性膀胱炎に対しては,近年,経尿道的手術(ハンナ型間質性膀胱炎手術)とDMSO膀胱内注入療法が保険収載された。両者の治療効果を比較した試験は過去にないため,その使い分けは経験的なものとならざるをえません。

当施設では,未治療の初発例に対しては必ず経尿道的手術を第一選択としています。その理由は,①手術時に膀胱組織生検検体を採取し,悪性所見の有無およびハンナ型間質性膀胱炎に矛盾のない組織所見1)であるかどうかを確認する必要があるため(当施設では内視鏡所見,臨床所見,膀胱病理組織所見を総合的に判断して,ハンナ型間質性膀胱炎の診断を下している),②病理組織所見でハンナ型間質性膀胱炎として矛盾のない慢性炎症所見を認めた症例では,将来third line therapyとしてコルチコステロイドの適用を視野に入れることが可能となるため,③未治療初発例は比較的ハンナ病変が広範囲に及んでいることが多く,DMSO膀胱内注入療法では良好な治療成果が得られにくいため,の3点です。


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