ご存じ山崎豊子の『白い巨塔』は浪速大学が舞台だ。上昇志向の塊である外科医・財前五郎が主人公。その教授選考をメインストーリーに、医療訴訟がからんでくる。患者側に立って財前と対立するのが、同級生で学究肌の内科医・里見脩二。
誤解しておられる向きもあるかもしれませんが、この小説はあくまでもフィクションでありまして、我らが大阪大学とは何の関係もございませぬ。
田宮二郎が財前を演じたテレビドラマは、もう30年以上前、医学生のころに放送され、学生同士でしょっちゅう話題になった。ほぼ全員が「財前はけしからん。里見のような医師をめざしたい」という意見であった。世間一般の人が望むのと同じだ。
そして25年の歳月が流れ、唐沢寿明版が放映されたころ、同窓会があった。ほとんどが「財前はまだ理解可能だけれど、里見のような奴がいたら本当に困る」という意見であった。同級生で医療小説家となっている久坂部羊などは「里見というのはフィクションでしかありえない」と断言。