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(1)下肢静脈瘤の疫学・治療法の歴史 [特集:進化する下肢静脈瘤の低侵襲治療]

登録日: 2016.10.07 最終更新日: 2025.09.20

小川智弘 (福島第一病院心臓血管外科/循環器科部長)

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下肢静脈瘤は罹患頻度が高く,特に高齢者に多く認められる

下肢静脈瘤の危険因子は多数あるが,その中でも肥満,高齢,出産は,静脈瘤発症に大きく寄与しているものと考えられる

下肢静脈瘤治療の歴史は病態解明より長いが,病態解明とともに,現在も一般的な治療法が確立されている

現在の下肢静脈瘤治療は,個々の病態に応じて,より低侵襲で良好な遠隔成績を追求する方向にある

1. 下肢静脈瘤の疫学

一般的に下肢静脈瘤と考えられる疾患は欧米では人口の約20~60%に認められ,そのうち治療が必要とされる症状を呈しているものは全人口の5%で,静脈性潰瘍を認める重症例は1%であると推測されている1)。13年以上の経過観察では,50%以上の症例で静脈瘤が悪化し,30%が皮膚症状を認める静脈瘤になるとの報告がある2)。わが国でも下肢静脈瘤が,45歳以上の女性で24.4%,男性で12.4%,全体で20.1%に認められており3),また年齢が上がるほどその頻度は増加している4)(表1)。網目状や蜘蛛の巣状静脈瘤を含めると相当数の下肢静脈瘤の罹患者がおり,高齢化に伴いその頻度も年々上昇しているものと考えられる。

2. 下肢静脈瘤の危険因子

下肢静脈瘤の危険因子として肥満〔BMIが30以上ではオッズ比(odds ratio:OR)6以上〕,遺伝的素因,静脈血栓症,女性,妊娠,出産(OR 1.3~2),高齢(OR 2.42以上),長時間の立位などが挙げられる1)


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