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シャンプーに含まれるシリコーンの役割とは?

登録日: 2016.10.04 最終更新日: 2025.09.20

山下裕司 (千葉科学大学大学院薬学研究科薬科学専攻講師)

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最近,ノンシリコンをうたい文句にした(強調した)シャンプーが発売されていますが,今までは全部のシャンプーに入っていたのでしょうか。役割は何だったのですか。

(質問者:秋田県 H)


【回答】

まずケイ素化合物について説明します。一般的に「シリコン」と呼ばれていますが,化学的な正式名称は「シリコーン」です。シリコンは元素の「Si(ケイ素)」を指し,金属ケイ素の原料です。一方,シリコーンは有機化合物で,シロキサン(─Si─O─)を主骨格とする有機ケイ素化合物の重合体の総称になります。シャンプーやコンディショナーなどのヘアケア製品で用いられるのは後者の有機化合物で,ご質問の物質です。

一般に,環状シリコーン(シクロメチコン),直鎖状シリコーン(ジメチコン),フェニル変性シリコーン,ポリエーテル変性シリコーン,アミノ変性シリコーン,アルキル変性シリコーンなど多種多様な種類が存在し,現在化粧品用途に使用されているシリコーン化合物は200種類以上あります。シリコーン成分の一般的な特徴は,①表面張力が低く,毛髪や皮膚などの表面に濡れ拡がりやすい,②酸素などのガス透過性に優れる,③化学的に安定である(熱や光に強い),④比較的刺激が少なく,生体安全性が高い,ことです。この性質から,シリコーンは特定の部位にとどまりにくく,毛髪や頭皮に薄い皮膜を形成することができます。また,ヘアドライヤーやヘアアイロンの熱,太陽光に含まれる紫外線曝露などで容易に分解せず,ヒト健康への影響は少ないと考えられます。

シリコーンが世の中で初めて化粧品に配合されたのは1950年であり,シャンプーに配合されたのは1975年とされています1)。最近ではあまり見かけない2 in 1シャンプーに利用されていました。わが国でも,1970年代後半から有機変性シリコーンが,1980年代には高重合シリコーンが,シャンプーやリンスなどのコンディショニング成分として使用されはじめました。その後もその特異な性質からファンデーションやスキンケア化粧品など様々な製品に利用されています。


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