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(1)抗癌剤の主な副作用と頻度,減量・休薬基準 [特集:抗癌剤の副作用対策]

登録日: 2016.10.03 最終更新日: 2025.09.20

勝俣範之 (日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授) 古川(高橋)佳容子 (獨協医科大学産婦人科講師)

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抗癌剤により起こりうる副作用・有害事象を予測して,必要な対策を立てておくことが,発症の予防や症状の軽減,早期発見,早期治療につながる

固形癌の約9割は外来での化学療法が可能である。腎機能障害をきたしやすいシスプラチンでも,外来での投与が可能となってきている

化学療法に感受性の高い癌腫(乳癌,卵巣癌など)の初回(補助)化学療法については,「癌の治癒」を第一の目標とし,安易な減量はせずdose-intensityを保つことが必要となる

進行・再発・転移性癌についてはQOLを保つことが重要であり,「癌とうまく共存していく」ことが目標となる。緩和ケアなどと協力した上で,肉体的・精神的に追い詰めることなく治療を続ける

1. 重要性を増す「副作用・有害事象の管理」

近年,抗癌剤治療においては,従来の殺細胞性抗癌剤のみならず様々な分子標的薬が導入されるようになり,その有害事象に対する適切な対応が求められている。有害事象の管理は,治療に必要な量を定期的に投与し,dose-intensityを維持していくためにも非常に重要である。また,起こりうる有害事象を予測して,必要な対策を立てておくことで,発症の予防や症状の軽減,早期発見,早期治療が可能となる。医療者のみならず患者も,抗癌剤治療開始時に起こりうる副作用・有害事象を把握しておくことが,症状出現時の速やかな対応につながるだろう。
現在は,固形癌の約9割において外来での化学療法が可能である。外来化学療法と入院化学療法を比較したRCTでは,外来化学療法の優越性が示されているため1),積極的な外来治療の導入が望まれる。

2. 血液毒性に関する有害事象

1 好中球減少

ほとんどの抗癌剤で出現する副作用であり,白血球中60~70%を占める好中球の数が低下する現象である。詳しい治療,感染対策などは,特集②にゆずる。


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