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脳出血によるせん妄にも(まずは)漢方薬を[プラタナス]

登録日: 2021.12.25 最終更新日: 2025.09.22

樫尾明彦 (給田ファミリークリニック)

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患者さんは80代女性。アルツハイマー型認知症(FAST:6b程度)で、要介護3(排泄や入浴は要介助)、息子さんと二人暮らしで、訪問診療を継続していました。

X年Y月、自宅で転倒して約1週間後、自宅にいるのに「家に帰る」と荷造りをしようとしたり、夜も眠らなくなりました。息子さんから、以前から時折不機嫌になるのとは様子がかなり違うと連絡があり、臨時往診に行きました。往診では、バイタルサインや診察所見に異常はなかったものの、転倒前よりも饒舌で、やや興奮している様子でした。この急性の精神状態の変化は、BPSDよりもせん妄の疑いが強いと考えました。

せん妄のトリガーとして、直前に追加した薬剤や、ショートステイなどの環境変化もありませんでした。採血を施行し、転倒歴から頭蓋内病変の有無を調べるために頭部CTを予約し、抑肝散を1日2回で内服を開始しました。採血結果を確認し、電解質や血算、血糖を含めて変わりなく、2日後の頭部CTでは、左側頭葉皮質下に脳出血の所見(写真破線部)を認めました。以上から、脳出血によるせん妄の可能性が考えられましたが、その時点で抑肝散の内服開始から2日ほど経過しており、だいぶ元通りの様子に戻って、また夜も眠れるようになったとのことでした。


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