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担がん患者が脳卒中を発症した場合に注意すべき点は?

登録日: 2021.08.16 最終更新日: 2025.09.20

永金義成 (京都第二赤十字病院脳神経内科部長) 河野浩之 (杏林大学医学部脳卒中医学教室講師)

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脳梗塞を発症した担がん患者を診療する機会が増えており,塞栓源が不明な脳塞栓症の精査中にがんが発見されることも少なくありません。このような悪性腫瘍と脳卒中の関連は,最近,stroke oncologyとして注目されています。担がん患者の脳卒中診断におけるポイントや抗血栓療法の考え方について,杏林大学・河野浩之先生に解説をお願いします。

【質問者】

永金義成 京都第二赤十字病院脳神経内科部長


【回答】

【抗凝固療法を考慮するが,出血リスクやがん以外の原因も調べる必要がある】

(1)担がん患者の脳卒中診断におけるポイント

がん,脳卒中は頻度の高い国民病であり,両疾患の合併症例(がん関連脳卒中)に遭遇することが増えています。また,がん患者の死因の第2位は血栓症であり,その対策が必要です。

がん関連脳卒中の多くは脳梗塞です。原因は,がんが関連する凝固異常(いわゆるトルーソー症候群)以外にも,腫瘍が血管へ浸潤する,あるいは血管を圧迫することによる直接的影響,化学療法・放射線治療の影響,侵襲的処置時の抗血栓薬の中断,感染,血管炎,従来の機序(アテローム血栓性脳梗塞,心原性脳塞栓症,ラクナ梗塞)があります。

急性期脳梗塞患者のがん合併頻度は約4~16%と報告されています1)2)。一方,原因がわかっていない脳梗塞(潜因性脳梗塞)の6.2%に,脳梗塞を契機に未診断のがんが見つかると報告されています3)。潜因性脳梗塞,複数の血管領域の病巣,貧血,Dダイマー上昇,フィブリノゲン上昇3)がある場合は,まだがんと診断されていなくても積極的ながんスクリーニングが必要です。


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