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TはテストステロンのT [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(22)]

登録日: 2016.09.08 最終更新日: 2025.09.20

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

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医学や科学の記事を中心に、毎号ちょこっと読む程度なのだが、TIME誌をとっている。時々、びっくりするほど面白い記事が載っているのが理由の一つ。それに、自分のよく知る分野の記事の正確さが抜群なので、他の分野についてもきっとそうに違いないと信じている。日本の新聞や雑誌とはえらい違いなのである。

少し前だが「Manopause?!」という特集表紙の号(写真)があった。Menopause(閉経)からモディファイした造語で、男性更年期というところだろうか。「20億ドルのテストステロン産業」という副題が目を引いた。

私の研究テーマの一つは精子形成の分子機構なので、アンドロロジー(男性学)の学会に行くことがある。外国のアンドロロジー関連学会では、テストステロン関係のブースがよく出ているから、儲かるのだろうとは思っていた。しかし、そこまでの産業になっているとは思っていなかった。

テストステロンの血中濃度は20代をピークに徐々に落ちていく。閉経のように何かが終わるわけではない。筋力が弱る、ヒゲや陰毛が薄くなる、精子の数が減る、そして、性欲が衰えていく。


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