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積極的な治療が必要でないかもしれない緑内障の見きわめ

登録日: 2019.07.16 最終更新日: 2025.09.22

後藤 浩 (東京医科大学臨床医学系眼科学分野主任教授) 福地健郎 (新潟大学大学院医歯学総合研究科眼科学分野教授)

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積極的な治療が必要でないかもしれない緑内障の見きわめについて,ご教示下さい。新潟大学・福地健郎先生にご回答をお願いします。

【質問者】

後藤 浩 東京医科大学臨床医学系眼科学分野主任教授


【回答】

【発見された時点で軽症かつ進行を強く予想させる条件が少ない症例】

緑内障は眼圧と様々な要因が関連して視神経を障害し,視力,視野などの視機能を低下させ,しだいに生活の質(quality of life:QOL)を害する疾患です。現時点で緑内障の病型の多くで眼圧を上昇させている原因,視神経を障害している原因そのものを治療することは困難で,対症的に薬剤や手術によって眼圧を下降させることによって治療がされています。悪化した視機能とQOLを改善させること,進行を完全に停止させることは困難です。一方で,視野欠損が軽度な病期でのQOLの影響は軽微で,多くの症例では進行は緩やかであることなど,QOLを維持するという目的からするとかなり許容される余地があることも緑内障の特徴のひとつととらえることができます。

緑内障治療は点眼薬による薬物治療が中心ですが,点眼薬とはいえ様々な副作用があり,点眼治療そのものによるQOLの悪化ということもあります。疾患に対する治療のすべてに通じることですが,疾患の重症度と治療のバランスという考え方が重要です。より重症度の低い緑内障はまず無治療で経過を観察し,治療の必要性について再検討してから治療を開始するのが原則です。


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