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突然の意思決定支援は難しい?[プラタナス]

登録日: 2019.04.27 最終更新日: 2025.09.20

小原弘之 (川崎医科大学総合内科学4教室特任准教授/総合医療センター内科副部長)

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56歳女性で乳がん、骨転移で紹介された患者さんとの出会いは、今でもはっきりと覚えている。5年以上抗がん治療、ホルモン療法を受けていたが、食後の嘔吐と心窩部痛が出現して、外来の受診の10日前から経口摂取ができなくなっていた。直前に前医でとったCTでは腸閉塞はないと説明されており、本人の希望で以前から受診を勧められていた緩和ケア外来を受診したのだ。

彼女は病院に勤めており、勤務先で点滴を受けながら生活していたので、まずは病態の把握をするために入院を勧めて、2日後に緩和病棟に入院になった。腹部CTで膵頭部への転移があり、上部消化管閉塞が起こって嘔吐していた。

彼女は一人暮らしで、認知症の母のお世話をしていたのだが、兄弟や同僚にもほとんど自分の病気の状況を相談していなかった。ホルモン療法が効かなくなっていることは説明を受けていたが、乳がんの進行期で予後が限られていることは伝えられておらず、自分で意思決定できなくなった場面でどうするかをまったく準備していなかった。


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