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動悸[今日読んで、明日からできる診断推論 実践編(14)

登録日: 2016.09.08 最終更新日: 2025.09.20

野口善令 (名古屋第二赤十字病院 副院長・総合内科部長) 宇藤 薫 (鎌ケ谷総合病院救急部)

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病 歴

55歳,男性。主訴は動悸。2日前の朝に動悸が数時間持続し,今朝もシャワーを浴びているときに動悸が出現した。その後,その動悸が持続し,通勤途中で脂汗も出てきたため,タクシーで当院を受診。顔色も悪く土気色のため,救急外来受診となった。
特に治療歴はないが,毎年,健診で高血圧,高血糖を指摘されていた。

スナップ診断

「50歳代,男性,起床後のシャワーのタイミングで症状発症,高血圧・高血糖の既往」から,心血管系のリスクは決して低くないと考える。


分析的アプローチ

■なぜその疾患名が挙がったのか

健診で高血圧や高血糖の指摘があるにもかかわらず,治療歴・通院歴がないということから,健康への関心が低い可能性が考えられる。つまり,未治療の疾患が隠れている可能性が高く,症状の推移,喫煙歴や飲酒歴,生活歴について問診する必要がある。また,過去に同様の症状があったかも含めて問診を掘り下げていく。
頻度は少ないものの,動悸・気分不快の原因として,危険ドラッグ(脱法ハーブ)や違法薬物の使用,徹夜目的のカフェイン錠の摂取による中毒状態も挙げられる。そのため,使用薬剤についても細かい問診が必要である。

私のクリニカルパール

健診を受けていない,健診で異常を指摘されているが治療歴がない場合,健康に留意していない状態が疑われる。
健診で全疾患を把握することはできないが,健康への関心が低い場合は,未治療の疾患が潜んでいる可能性が高くなる。


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