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心アミロイドーシススクリーニングのためのRed flagsとKumamoto Criteria

登録日: 2026.10.29 最終更新日: 2026.10.29

宇宿弘輝 (熊本大学病院中央検査部診療講師) 泉家康宏 (熊本大学病院循環器内科准教授) 辻田賢一 (熊本大学病院循環器内科教授)

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(1) Red flags

以前より,心アミロイドーシス,特にATTR-CMにおいて,誤診や診断の遅れが問題となっており,あるATTR-CMの調査では,17%もの患者が,正確な診断に至るまでに5人の異なる医師の診察を受けていた。また,ATTRwt-CMの39%の患者において誤診の経験があり,そのうち75%において誤った疾患診断に基づいて処方が行われていたとの報告もあった 16)。このため,ATTR-CMをいかに取りこぼしなくスクリーニングするかが重要な課題となっており,その解決策のひとつとしてATTR-CMの特徴を列記したRed flags(もしくはClinical Clues)が作成されている。

これまで様々なRed flagsが発表されているが,本項では2019年にWittelesらがJACC Heart Failure誌にて発表したRed flags17)と2021年にInomataらがESC Heart Failure誌にて発表したRed flags(通称,日本版Red flags)18)を紹介させて頂く。

WittelesらのRed flagsは表1 17)に示すように8つの項目から成る比較的シンプルな構成である。診断アルゴリズムとしては,65歳超の男性もしくは70歳超の女性において,左室壁厚が14mm以上で心不全またはRed flagsを認める場合には,骨シンチグラフィなど,さらなる精査へ進むというアルゴリズムである。Red flagsの項目としては,心電図検査所見・心エコー図検査所見から4項目,血清生化学検査所見から1項目,身体所見から2項目,心臓MRI検査所見から1項目が組み込まれており,比較的バランスの取れたRed flagsと考えられる。

Inomataらの発表した診断アルゴリズムでは,壁肥厚に加えてRed flagsが1つ以上ある場合に,骨シンチグラフィなど,さらなる精査へ進むことになる。アルゴリズム上に提示されているRed flagsとしては,心不全症状,心電図検査における低電位と偽梗塞パターン,60歳以上という年齢,血清生化学検査所見としてNT-proBNP,高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT),高感度心筋トロポニンI(hs-cTnI),画像所見として心エコー図検査所見,心臓MRI検査所見,病歴として手根管症候群,脊柱管狭窄症が挙げられている(図8)18)。

Red flagsは,ATTR-CMを取りこぼすことなく拾い上げることを目的として作成されており,特にInomataらのRed flagsは,通常診療で遭遇するような一般的な心不全症例においてもATTRwt-CMが隠れていることを示唆しており,非常に臨床的意義が高いと考えられる。しかし実際に,このRed flagsを適用すると,若年者を除くほぼすべての左室壁肥厚症例においてATTRwt-CMの可能性を疑う必要があるため,実臨床においてそのまま利用することはなかなか難しい。Red flagsであっても項目によって重要度は異なると考えられるため,重要性の高い項目については,特に注意して評価していく必要がある。


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