高橋浩一「脳脊髄液減少症の既知と未知~ブラッドパッチ治療はどこまで有効か?」(質疑応答【動画版】)
登録日:2021.12.16 最終更新日:2025.09.24
シリーズ: 【Web医事新報チャンネル】~2022/5
質疑応答【動画版】では、現場の臨床医の先生方から実際に寄せられた質問・疑問を取り上げ、専門家が最新の知見・データに基づいてわかりやすく解説します。
今日のテーマは「脳脊髄液減少症の既知と未知~ブラッドパッチ治療はどこまで有効か?」。山王病院脳神経外科部長の高橋浩一先生にご回答いただきます。
(視聴時間28分・2021年11月30日収録)
【Question】
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脳脊髄液減少症の病態やブラッドパッチ(硬膜外自家血注入療法)の有効性についてどこまでわかってきたか、症例をベースにご解説ください。(00:30)
【症例1:60歳・女性】突然、強固な起立性の頭痛。全く起立ができない状態となった(00:42)
【症例2:53歳・男性】X年3月28日、起立で悪化する頭痛を自覚(02:02)
【症例3:40歳・男性】起立性頭痛にて発症(04:44)
【症例4:72歳・男性】X年8月より歩行障害が出現(07:20)
【症例5:13歳:女性】X年8月27日、交通事故にて受傷(08:54)
【症例6:12歳・男性】X年夏、交通事故にて頭部外傷、左眼窩骨骨折。その後、易怒性、頭痛、朝が弱い、集中力低下、睡眠障害など出現(10:11)
【症例7:13歳・女性】X年8月、交通事故、乗用車の後部座席に乗車中、後方から追突された(10:57)
【症例8:43歳・男性】X年8月、乗用車の追突事故に遭った。直後より頭頚部痛、全身倦怠感、めまいなどが出現(11:33)
【症例9:26歳・女性】X年、左膝前十字靭帯断裂に対し腰椎麻酔にて手術を施行。その後、右半身の不随意運動が出現(12:28)
【症例10:19歳・女性】14歳時から3回のHPVワクチン接種。各接種後、一時的に強固な頭痛と生理痛、不正出血あり。その後、頭痛、意識消失、めまい、倦怠感、光覚過敏、筋力低下など出現し、徐々に進行(13:25) - ブラッドパッチ治療について実臨床ではどのように適応を判断し、どのような点に注意しながら進めるべきでしょうか?(16:26)
- 髄液の動態・機能について「古典的概念は修正が必要な時期が来ている」との指摘がありますが、先生のご見解は?(20:23)
編集メモ~ここがポイント!
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若年発症で非外傷性の両側慢性硬膜下血腫症例では、特発性低髄液圧症候群が合併している可能性がある。保存的加療で効果が乏しい場合はブラッドパッチを先行すべき
- 血腫量が多い症例、髄液圧が上昇している症例では、ブラッドパッチに続いて直ちに血腫洗浄術を行う必要がある
- ブラッドパッチで改善しうる症状:振戦、尿失禁、胸郭出口症候群、運動障害、視覚障害、聴覚障害、味覚障害、高次機能障害、自律神経障害
- ブラッドパッチ治療の適応:脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準などの診断基準を満たし、保存的加療の効果が乏しい症例
- ブラッドパッチ治療は、ゆっくり血液を注入、患者が痛みを強く感じた場合は休憩。けいれん発作を起こすことがあるため、意識状態を頻繁に確認する
- 髄液は循環せず、撹拌と拡散をしているのみ。SSS(上矢状洞)は主吸収路ではない。脊髄神経根髄膜を介した吸収路が重要
- 髄液の動態・機能は不明な点が多い
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