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皮膚悪性リンパ腫治療のポイント

No.4782 (2015年12月19日発行) P.60

菅谷 誠 (東京大学大学院医学系研究科皮膚科学准教授)

登録日: 2015-12-19

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

菌状息肉症などの皮膚悪性リンパ腫について,治療のポイントをご教示下さい。特に最近の新しい治療薬の使いわけや投与のタイミングなどはどのように考えたらよいでしょうか。東京大学・菅谷 誠先生にお願いします。
【質問者】
阿部理一郎:新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学 教授

【A】

皮膚悪性リンパ腫の代表である菌状息肉症は根治することが難しいため,病気とうまく付き合い,いたずらに強力な治療を行わず,進行を防ぐことに専念する,といった姿勢が重要です。特に新生,消退を繰り返す丘疹・結節や,外科的切除や電子線照射で対応できる病変に対して,抗癌剤を安易に使用しないことが大切だと思います。白人と比べて皮膚癌の頻度が低い日本人の場合は,紫外線療法が治療の基本です。
紫外線だけでコントロールが難しい場合は,ビタミンA誘導体の内服やインターフェロンγを併用します。最近認可されたヒストン脱アセチル化酵素阻害薬のボリノスタットを使用することもあります。ビタミンA誘導体が浸潤の強い病変に奏効する一方,インターフェロンγやボリノスタットは紅皮症に有効な印象があります。
さらに治療に抵抗する場合は抗癌剤を使用しますが,エトポシド,メトトレキサート,シクロホスファミド(エンドキサン )などの経口薬を単独で用います。新しく認可された治療薬としては,ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体であるモガムリズマブや塩酸ゲムシタビンがあります。モガムリズマブは腫瘍細胞がCCR4を発現している症例にのみ適応があります。末梢血中の腫瘍細胞は速やかに消失すると報告されており,コントロール不良なセザリー症候群に適しているかもしれません。
移植可能な年齢であれば,同種造血幹細胞移植を検討します。ただし,移植関連死,移植後の再発,移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)など負の側面もあるため,適応は慎重に判断すべきです。文献的には骨髄非破壊的移植のほうが成績は良いのですが,移植後再発も多く,移植の最適なタイミングや前処置については,これから解明すべき課題と言えそうです。移植後再発に関する治療法についても,症例が増えるに従って問題になると思われます。皮膚だけの再発であれば,ステロイド外用や紫外線照射で病勢がコントロールできることも多くみられます。

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