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診療所で診る皮膚疾患<第2版>

大好評書が待望の改訂

定価:8,250円
(本体7,500円+税)

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著: 中村健一(ドクターケンクリニック 院長)
判型: A4判
頁数: 300頁
装丁: カラー
発行日: 2017年03月15日
ISBN: 978-4-7849-5189-5
版数: 2
付録: -

■疾患解説では近年罹患数が急増し問題になっている「梅毒」を追加したほか,新薬が登場し治療が大きく変わった「ざ瘡」「爪白癬」「帯状疱疹」などを中心に内容をリニューアル。初版で好評だった,鑑別疾患の「そっくりさん写真集」もわかりやすく改訂しました。
■よくある患者の訴え別に,遭遇頻度の高い,本当にマークすべき疾患のみを厳選。その上で,個別疾患の診断,治療,患者説明のポイントを豊富な症例写真とともに解説しています。著者が長年の経験で培った診断・治療のノウハウを,様々な形で惜しげもなく開陳。まさに“皮膚科診療の宝石箱”です!

診療科: 皮膚科 皮膚科

目次

第1章 皮膚科診療のための基本
01    皮膚科診療に必要な器具類
02    ステロイド外用薬─一般医が知らない皮膚科医の常識
03    創傷・褥瘡用語─詳しいナースにバカにされないための常識

第2章 皮膚科診療Q&A
Q1    皮膚科診療に必要な言葉を教えて下さい。
Q2    よくある疾患を部位別に教えて下さい。
Q3    皮膚科診療に決まったパターンはありますか?
Q4    患児の保護者から「ステロイドは怖いので,NSAIDsを処方して下さい」と言われたら?
Q5    患児の保護者から「私の子ども,アレルギーではないですか?」と聞かれたら? Q6    「アレルギーの場合,食べ物はどうしたらよいですか?」と聞かれたら?
Q7    よくある重要な感染症は?
Q8    「お風呂に入ってよいですか?」と聞かれたら?
Q9    トラブル患者とのお付き合い,どのようにしたらよいですか?
Q10    先発薬とジェネリック薬,効果は同じですか?
Q11    いまさら聞けない「抗菌薬の選び方」を教えて!
Q12    混合軟膏はどうですか?
Q13    ステロイド外用薬の選び方を教えて下さい。
Q14    「ガイドライン」は,どのように活用すべきですか?
Q15    ステロイド外用薬などの副作用が怖いので「控えめに使用して下さい」と患者に言ってもよい?

第3章 患者の訴え別 症状・対処法紹介
01    頭にフケが出た!痒い!
02    髪の毛がない。
03    顔が赤くなった!痒い!(特に女性)
04    顔のシミを診て下さい。
05    手あれを診て下さい。
06    赤ちゃんのおしりが真っ赤っかです。
07    爪が変色,変形した。厚い。もろい。
08    手足にウオノメができました。
09    水虫なんです。
10    体のあちらこちらが痒い!
11    体の一部が痒いんです。
12    皮膚の一部が白い…。
13    水疱ができました。
14    子どもの四肢に赤いブツブツができました。
15    夏/冬になると,ウチの子の肌が大変なんです。
16    高齢者が皮膚の痒みを訴える。
17    中高年の患者が「私,癌ではないですか?」と不安がる。
18    足の爪が痛い!
19    痒いんです。アトピーでしょうか?
20    皮膚が赤く盛り上がって,痒い!
21    皮膚が赤く盛り上がって,痛い!
22    全身に何かパラパラ出た!
23    顔にブツブツが出ました。
24    ジクジクした病変ができました。

第4章 患者の疾患別 症状・対処法紹介
  Ⅰ 湿疹皮膚炎・皮膚瘙痒症
01    こすり過ぎと癖による皮膚炎
02    クレンジングによるこすり過ぎ皮膚炎
03    おむつ接触皮膚炎
04    剃毛による皮膚炎
05    よくある接触皮膚炎
06    化粧品接触皮膚炎 and/or 日光皮膚炎
07    抗真菌薬の接触皮膚炎
08    本当のアトピー性皮膚炎
09    乳児の顔面にできたアトピー性皮膚炎かもしれない湿疹
10    頭部の脂漏性皮膚炎
11    顔面の脂漏性皮膚炎
12    体幹部,四肢などの脂漏性皮膚炎
13    乳児の顔面・頭部の脂漏性皮膚炎,新生児ざ瘡
14    手湿疹,手の異汗性湿疹
15    あせもかもしれないいろいろな痒み,異汗性湿疹
16    足の異汗性湿疹
17    汗 疱
18    小児の皮脂欠乏性湿疹,お風呂でのゴシゴシ摩擦
19    皮膚瘙痒症
20    自家感作性皮膚炎
21    貨幣状湿疹
22    ビダール苔癬,慢性湿疹
23    「健康」サンダルによる痒みおよび足底亀裂性皮膚炎
  Ⅱ    蕁麻疹・痒疹・虫刺され
24    蕁麻疹
25    痒 疹
26    多形滲出性紅斑
27    薬 疹
28    毒蛾皮膚炎,虫刺され
  Ⅲ    外傷,環境因子など
29    鶏眼,胼胝(べんち)
30    凍瘡(しもやけ)
31    足趾間の浸軟
32    外傷の処置,創傷の処置
33    熱傷の処置
34    褥瘡の処置
  Ⅳ    水疱性疾患・角化性疾患
35    水疱性類天疱瘡
36    掌蹠膿疱症
37    尋常性乾癬
38    ジベルばら色粃糠疹
  Ⅴ    細菌感染症
39    丹 毒
40    せつ,蜂窩織炎
41    梅 毒
42    多発性毛包炎
43    伝染性膿痂疹(とびひ)
  Ⅵ    真菌感染症
44    真菌検査の方法
45    頭部白癬
46    手白癬,足白癬
47    爪白癬
48    おむつの部位に生じるカンジダ感染症
49    癜 風
  Ⅶ    ウイルス性疾患
50    ウイルス性乳頭腫(疣贅,いぼ)
51    単純疱疹(ヘルペス)
52    帯状疱疹
53    ジアノッティ症候群,砂かぶれ様皮膚炎
54    全身のウイルス感染症─水痘,麻疹,風疹,突発性発疹など
55    伝染性紅斑
56    手足口病
57    ウイルス感染症か薬疹か判別できない状態
58    伝染性軟属腫(ミズイボ),モルスクム反応
  Ⅷ    虫による寄生性疾患
59    疥 癬
60    あたまシラミ
  Ⅸ    腫瘍性疾患
61    顔面にできる良性疾患
62    一般医でも経験する皮膚癌
63    アテローム(表皮囊腫),粘液囊腫
64    アクロコルドン
  Ⅹ    その他
65    女性の悩み  ─肝斑,摩擦による色素沈着
66    尋常性白斑,単純性粃糠疹(はたけ)
67    円形脱毛症,抜毛癖,男性型脱毛症
68    陥入爪
69    ざ瘡(ニキビ)
70    酒さ,ステロイド酒さ

第5章 皮膚診察Tips集
  診断編
01    手湿疹に似た病変は?─手の紅斑,丘疹のそっくりさん
02    突然,水疱ができました!─水疱のそっくりさん
03    これは本当にアトピー?─アトピー性皮膚炎のそっくりさん
04    褐色!黒い!茶色い!─腫瘍のそっくりさん
05    白斑が出た!─白い疾患のそっくりさん
06    盛り上がった!痒い!─盛り上がる疾患のそっくりさん
07    ウイルス性乳頭腫(いぼ)に似ているが…。─いぼのそっくりさん
08    足に小水疱,鱗屑が…。─水虫のそっくりさん1
09    足が角化しました…。─水虫のそっくりさん2
10    足趾の間が白くふやけました…。─水虫のそっくりさん3
11    爪が混濁しています…。─水虫のそっくりさん4
12    これは,疥癬?痒疹?悩むところです。─疥癬のそっくりさん
13    痒みのある赤い顔は?─赤い顔のそっくりさん
14    ヘソのように盛り上がりました。─アテロームのそっくりさん
15    全身の広範囲に紅斑,丘疹が!─紅斑,丘疹のそっくりさん
16    おむつ皮膚炎かしら?─真っ赤なお尻のそっくりさん
  治療編
17    ステロイド外用薬でも痒みが止まらないアトピー性皮膚炎。どうしたらよい?
18    足白癬の市販薬でかぶれて浸軟している。どうしたらよい?
19    蕁麻疹に抗ヒスタミン薬が無効です。どうしたらよい?
20    ざ瘡で困るケースあれこれ
21    ワンポイントQ&A

column
赤い顔について
レーザー脱毛について
アトピー性皮膚炎:そのほかの治療について
足白癬と異汗性湿疹について
白癬疹について
多形滲出性紅斑とStevens-Johnson症候群,中毒性表皮壊死症
性感染症の現場
性感染症の問題
抗ヒスタミン薬の3分類の覚え方(先発品名で覚える)
状況別の抗ヒスタミン薬使用法
疥癬トンネル発見のコツ
疥癬か痒疹か迷ったら,疥癬を前提として治療します。
美容皮膚科について
シミ治療は自費の美容皮膚科で
厚硬爪甲の治療について
チョコレートを食べると,ざ瘡は悪化するの?
アトピー性皮膚炎は治らないのですか?と聞かれたときの即答術
私の皮膚病はアレルギーですか?と聞かれたら
蚊に刺されて熱が出て,発疹が出て…急性ウイルス性発疹のウェブ情報は?
「足の爪が厚くなって切れない,切ってくれ」と言われたら
結核にならない,傷が早く治るスーパーマン(ウーマン)?
皮膚感染症に「第3世代セフェム系内服薬」の使用はやめましょう。
「ジョニ赤歩き」のすすめ
女性に生じる頭部毛髪の薄毛・脱毛症はどうしたらよいの?
粉瘤は「感染するから痛くなる」のか?
汗はかいたほうがいいの?かかないほうがいいの?
デルマクリン®A軟膏・デルマクリン®クリームをご存知?

筆者がお勧めする参考図書&Webサイト
〈資料〉 DESIGN-R® 褥瘡経過評価用

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序文

第2版 はじめに


梅毒の2016年の新規発生数が4,000人を超えました(国立感染症研究所,2016年 年間発症速報値,2017年1月公開)。初版を執筆していた2010年ころは600人程度でしたので,激増していることになります。スマートフォンの普及で性行動が活発になった? テレビの影響? みなさんいろいろ理由をつけています。しかし「初期消火」に失敗している最大の理由は医療の「前線」で梅毒トレポネーマを見逃している我々「普通の開業医」「一般病院の普通の医師」であるのかもしれません。梅毒が「どこにでもある普通の疾患」となりつつあります。この版では新たに梅毒についての記載を加えています。
また,治療法についても,尋常性ざ瘡を劇的に改善する新薬や帯状疱疹の疼痛に対する薬剤の「発見」,アトピー性皮膚炎の「プロアクティブ療法」など,ここ数年で大きく変化しました。上記のような疾患についての治療法は近年大きく進歩しました。実に多種の選択肢があるので,迷ってしまうほどです。特にこのような疾患については詳細に述べてあります。
この版では初版を踏襲し,できるだけ身近な疾患をわかりやすく取り上げています。一方,初版でとても簡単に記載されていた第5章の「そっくりさん写真集」は,解説も加えた「皮膚診断Tips集」として内容を増やしました。また,主として大病院での治療である生物学的製剤,免疫チェックポイント阻害薬などの情報や,膠原病,各種腫瘍,血管炎など,皮膚科的に重要でも一般医が経験することは稀な疾患は割愛させて頂いておりますので,ご注意下さい。
本書の姉妹書である『診療所で診る子どもの皮膚疾患』,あるいは筆者執筆のウェブサイト連載「日経メディカルOnline」の「臨床講座:ドキュメント皮膚科外来」(登録にて閲覧可能)も,併せてお読み下さい。
参考書籍としては巻末に参考図書を掲載しています。皮膚科分野の書籍は宮地良樹先生(滋賀県立成人病センター病院長)の書かれたものが大変よく売れているようです。最新情報を取り入れ,医師の知りたいことを敏感にとらえているのが理由です。情報過多の現代,「皮膚科書籍,何を買うか迷ったら宮地本」と言われており,本書も宮地良樹先生の本から多くの情報を取り入れています。この場を借りて深謝いたします。


2017年2月

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レビュー

アップグレードした『診療所皮膚科学』指南書

宮地良樹(京都大学名誉教授)
本書は、実践的な皮膚科診療教書としてきわめて好評を博した「診療所で診る皮膚疾患」(2011年刊行)の改訂第2版である。「はじめに」で著者が述べているように、本書は「普通の開業医」「一般病院の普通の医師」が日常的に遭遇するありふれた皮膚疾患にあえて焦点を絞っている。一方で「患者の愁訴」という視点から、これでもかというほど日常診療のスキルを惜しげもなく披瀝しているのが大きな特徴である。第1版が4刷を重ねたことからもわかるように、本書の人気の秘密は、著者が開業医生活の中で自ら確立したユニークな皮膚科診療手法を、実にクリアカットな切り口で小気味よく公開していることにあるだろう。その善意あふれるサービス精神には脱帽するばかりである。おそらく、日常診療で気づいたコツをこまめにメモしておき、本書の改訂にあわせて一気に放流したのだと思われる。
まず、冒頭の「皮膚科診療のための基本」と「皮膚科診療Q&A」では、まさに皮膚科診療のABCを、門外漢の医師にもわかるようかみ砕いて解説している。想像するに、これは彼が皮膚科に入局したときに抱いた素朴な疑問や不安を、自らの力で乗り越えてきた道のりを反芻しながら読者に優しく語りかけているのではないかと思われる。だからこそ、ツボを押さえた「かゆいところに手が届く」記載が可能なのであろう。
「患者の訴え別/疾患別 症状・対処法紹介」は「中村実践皮膚科学」の面目躍如たる部分で、遭遇頻度順に並べる手法は圧巻である。患者は発疹のことを「湿疹」と言ったり、足がかゆければ何でも水虫と思ったりするふしがある。その誤解を懇切丁寧に解きほぐしながら説明する様は、さながら著者の外来に陪席して勉強している気分になる。
「はじめに」で、「宮地本から多くの情報を取り入れている」と書いて頂いたが、私にはとても真似できない芸当である。
読み進むほどに惹き込まれる「中村節」の真骨頂を、この1冊でぜひ共有して頂きたい。

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