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皮脂欠乏性湿疹・貨幣状湿疹[私の治療]

No.5206 (2024年02月03日発行) P.41

青山裕美 (川崎医科大学皮膚科学教授)

登録日: 2024-02-02

最終更新日: 2024-01-30

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  • 皮脂欠乏性湿疹は乾皮症/ドライスキンを基盤に生じる湿疹である。貨幣状湿疹は,湿疹病変が円型に集簇している状態を言う。触診や視診により乾燥と臨床所見を評価する。皮脂欠乏症となる環境要因ならびに合併症や原疾患あるいは治療歴などの非環境要因の有無を確認する。

    ▶診断のポイント

    湿疹のある皮膚がドライスキンであれば診断できる。ドライスキンは,皮膚表面が光沢を失い乾燥した状態で,鱗屑および浅い亀裂を生じ,瘙痒を伴う状態である。要因を問診する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    皮脂欠乏性湿疹の治療では,まず基盤となる皮脂欠乏症を,保湿薬で治療することが早期寛解導入だけでなく,再発を防ぐポイントである1)。保湿薬には,OTCと医療用保湿薬がある。生理的要因や環境要因に伴う,一過性で軽度の皮脂欠乏症で瘙痒を伴わない軽症例は,医療用保湿薬を使用せず,環境要因の除去や患者指導,セルフメディケーションで対処できる。一方で明らかな鱗屑や搔破痕を認め,悪化が予測される場合には,瘙痒を伴わなくとも医療用保湿薬による治療介入を考慮する。医療用保湿薬のうちモイスチャライザーを使用する。皮脂欠乏症の要因として高齢者の皮脂腺や汗腺の機能低下,小児では生理機能の未成熟,環境要因として冬季の低湿度環境,基礎疾患としてアトピー性皮膚炎や乾癬,糖尿病,透析,腎機能低下,抗癌剤の使用や放射線治療などがあるため,問診で確認する必要がある。

    また,保湿薬を使用しているにもかかわらず湿疹化している場合には,ステロイド外用薬などの抗炎症薬を用いた治療を併用する。

    貨幣状湿疹は,皮脂欠乏性湿疹よりも湿疹病変が強く滲出液が多い。ステロイド外用薬の単純塗布で軽快する場合もあるが,慢性化難治化している場合は,ステロイド外用薬を病変部に塗布した後に,亜鉛華軟膏をリント布に塗って貼る重層療法が著効する。

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