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多発性骨髄腫診療における現在のCAR-T細胞療法と二重特異性抗体療法の位置づけは?

No.5217 (2024年04月20日発行) P.52

蒔田真一 (国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科)

鈴木智貴 (名古屋市立大学医学部医学研究科血液・腫瘍内科学)

登録日: 2024-04-22

最終更新日: 2024-04-16

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  • 多発性骨髄腫診療における現在のCAR-T細胞療法と二重特異性抗体療法の位置づけと,今後の展望に関してご教示下さい。
    名古屋市立大学・鈴木智貴先生にご解説をお願いします。

    【質問者】蒔田真一 国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科


    【回答】

    【再発・再燃の多発性骨髄腫に対して期待される治療選択肢である】

    (1)現状の位置づけ

    多発性骨髄腫は再発・再燃を繰り返しながら治療抵抗性を獲得していく難治性の形質細胞腫瘍です。新規機序の免疫療法であるCAR-T細胞療法,二重特異性抗体は再発難治性骨髄腫に対して高い有効性が示され,特に骨髄腫細胞表面に発現するB-cell maturation antigen(BCMA)を標的とした治療の開発が先行しています。

    2024年3月時点で,わが国ではCAR-T細胞療法(idecabtagene vicleucel:ide-cel)が保険診療として実施可能です。ide-celは,「免疫調節薬(IMiDs),プロテアソーム阻害薬(PI),抗CD38抗体を含む2つ以上(承認当初は“3つ以上”で,その後に適応拡大)の前治療があり,直前の治療で再発・再燃した患者」に適応があります。しかし,CAR-T細胞療法には限られた治療施設,製造スロットの制約,リンパ球アフェレーシスからCAR-T細胞投与までの期間(約2カ月弱)を要する,などの制限があり,本治療へのアクセスがまだ不十分です。一方で,二重特異性抗体は,2024年度中に本邦で承認が見込まれており,CAR-T細胞療法に特有の制限がないため,患者が新規の免疫療法を受けられる機会が増えることが期待されます。

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