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特集:利尿薬クリニカルパール集

No.5196 (2023年11月25日発行) P.18

長澤 将 (東北大学病院腎臓・高血圧・内分泌科講師)

登録日: 2023-11-24

最終更新日: 2023-11-22

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2003年東北大学医学部卒業。Medical college of Wisconsin留学後,東北大学大学院修了。石巻赤十字病院を経て,18年より東北大学,19年より現職。

1 利尿薬とは何か(原則)

・利尿薬とは,主に腎臓(尿細管)などに作用して,尿量を増やす薬である。

2 利尿薬の種類

・浸透圧利尿薬
・炭酸脱水酵素阻害薬
・SGLT2阻害薬
・ループ利尿薬
・サイアザイド系利尿薬
・K保持性利尿薬
・V2受容体拮抗薬

3 利尿薬の使いどころ

・浸透圧利尿薬〔脳浮腫,緑内障(基本的に専門医が使う)〕
・炭酸脱水酵素阻害薬(高山病,緑内障)
・ループ利尿薬(体液量過剰に対して使用。フロセミドは空腹時に投与。体重をベースに飲む日を決めるとよい)
・サイアザイド系利尿薬(降圧薬)
・K保持性利尿薬(臓器保護薬)
・V2受容体拮抗薬〔体液量過剰(一部の低Na)〕

4 利尿薬の副作用

・マンニトール〔急性腎障害(稀)〕
・グリセオール(高血糖)
・アセタゾラミド(アシドーシス)
・ループ利尿薬(体液量減少。長期的に使うと低カリウム血症,低マグネシウム血症。尿酸値↑)
・サイアザイド系利尿薬(低ナトリウム血症,低カリウム血症,高カルシウム血症)
・K保持性利尿薬〔高カリウム血症,女性化乳房(スピロノラクトンの場合)〕
・トルバプタン(高ナトリウム血症,肝機能障害)

5 トラブルシューティング

・Q1:利尿薬を飲ませても体重が減らない
・Q2:低カリウム血症,低マグネシウム血症の場合,補充しながら続ける?
・Q3:サイアザイド系利尿薬で血圧が下がらない
・Q4:低ナトリウム血症,低カリウム血症があっても,サイアザイド系利尿薬を続けたほうがよい?
・Q5:高カリウム血症のマネジメントは?

 利尿薬のクリニカルパール

1 利尿薬とは何か(原則)

利尿薬とは,尿量を増加させる作用をもつ薬の総称である。「水をたくさん飲むと尿が増えるから,水も利尿薬ですか?」とか,「お茶やコーヒーを飲むとトイレが近くなりますが,これも利尿薬ですか?」という質問をする人がいるが,この場合は「容量負荷」であって,腎臓が生理的に尿量を増やしているわけなので,ここでは扱わない。当然,スイカも扱わない。

そうすると,利尿薬とは,「主に腎臓(尿細管)などに作用して,尿量を増やす薬」ということになる。 なお,一部の漢方薬なども利尿効果があるとされているが,漢方の概念としては「利水」であり,水の分布の異常を整えることを目的にしている(その一部として利尿がある)ために,ここでは利尿薬としては扱わない。

2 利尿薬の種類

(1)浸透圧利尿薬

利尿薬の定義として「腎臓に作用して尿量を増やす」と述べたが,「腎臓に作用しない利尿薬があるのか?」という問いに対しては,マンニトールやグリセオールなどがある。これらの薬は,浸透圧利尿薬と呼ばれ,糸球体で濾過されたこれらの物質が尿細管の管腔内に水を引きつけることにより利尿効果を得る。ここでは,チャネルやトランスポーターに作用しているわけではない。

同様に,浸透圧利尿をきたすものとして高血糖がある。糸球体から濾過された糖(グルコース)は,通常は再吸収され,尿中に大量に排泄されることはない。ただし,高血糖があり,腎臓での再吸収の閾値を超えた場合などでは尿糖が出てくる。この糖が浸透圧で水を引きつけて多尿になるため糖尿病の初期症状として,多尿→脱水→口渇の病態が成立する。高浸透圧性高血糖状態(hyperosmolar hyperglycemic syndrome:HHS)や糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis:DKA)は高血糖をきたす重症例である。

あまり日本で使用されることはないが,尿素なども浸透圧利尿をきたすことにより自由水の排泄を起こすため,低ナトリウム血症の治療に使われる1)。個人的には,副作用と価格のバランスなどを考えると興味はある。と言いつつ,実際に試したのであるが,とてもオススメできる味ではなかった。しかも,上記論文では用量7.5~90g/日とかなり多い。ただ,大手のウェブサイトでは4~6円/gと,非常に手ごろな価格で売られている。

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